2018.02.23 2023.10.05
2020年度から導入される新学指導要領の〝移行措置〟を知っておきたい
これからの時代に求められる力を育てるための教育改革。小学生の新学習指導要領は、2020年度から導入されますが、いきなりすべてが新しく切り替わるわけではありません。現行の教育からスムーズに移行するため、それに先立つ2年間(2018年~)が準備期間とされ、対応カリキュラムが組まれます。これが〝移行措置〟といわれるものです。ここでは、今回の"移行措置"の内容を分かりやすく解説します。
なぜ〝移行措置〟が必要なの?
現行の教育とはどう違うの?
学習指導要領は約10年ごとに内容の見直しが行われており、前述したとおり、導入にあたって2年間の準備期間が設けられています。今回、小学校では2018年度からが該当期間となります。新たな指導要領には、現行のカリキュラムにはない内容が加わることがあるほか、学ぶ対象の学年が変更されることもあります。例えば前回の改訂では、それまで小学2年生の算数で学んでいた「時刻」を、1年生で学ぶよう変更されました。もし、何の対処もしないまま新指導要領を導入してしまうと、この変わり目にいる今の1年生の子どもたちは「時刻」について学習する機会がないまま、次の学年に進んでしまうことになります。それを避けるため、対象になる子どもたちには現行の内容に加えて「時刻」の項目を履修させることになりました。
「時刻」くらいなら親が教えればよいのでは、と思うかもしれませんが、これはあくまでも例のひとつです。変更される単元がカンタンなものとは限りません。学ぶ内容に漏れ・欠落が出ないように学校現場でしっかり対処する必要があるため、移行措置が設けられているというわけです。この際、現行の教科書に載っていない単元等を学習する場合は、必要に応じて教科書会社が小冊子を作成し、授業で使えるようにします。また内容によっては現場の先生が独自にプリント教材などを作って、学習に役立てる場合もあります。
学習指導要領は約10年ごとに改訂されており、導入される前に2年間の準備期間=移行措置が設けられています。
今回は2020年度から新学習指導要領を導入。小学校では2018年度から移行措置が行われます。
移行措置は学ぶ内容に漏れ・欠落が出ないように設けられているもの。必要に応じて小冊子やプリントなどが用意されます。
今回の移行措置では何が変わるの?
授業時間の増減はあるの?
小学校における移行措置で、今回最も動きがあるのは外国語の学習です。国際化社会の中で不可欠となる英語の力を養うため、英語学習のスタートが前倒しされることとなりました。新たに3、4年に「外国語活動」が年間15時間(週1時間程度)※加わり、5、6年は教科として「外国語(英語)」を年間50時間(週2時間程度)※学ぶこととなります。
今回の改訂には、早いうちから英語に親しみALT(*)など外国人とも楽しくコミュニケーションすることで、英語学習への心理的ハードルを下げること、また5年生から徐々に教科として学び始めることで、中学英語へギャップなくつなごうという狙いがあります。加えて従来の読み書き中心の英語教育ではなく、聞く・話すも重視した4技能をバランスよく学ぶことに。そのため実際の授業では、小学校の先生がALTとのコンビで進める形が想定されています。高学年への指導では、中学校の先生との連携もあるかもしれません。
(2018年2月現在)
国語、社会、算数、理科については一部学年に少々の動きはありますが、全体の学習量にはあまり変化がないので、現行の時間内でおさまりそうです。それ以外の教科(生活、音楽、図工、家庭、体育、道徳)は、平成30年度から新学習指導要領を先取りして行われますが、授業数の増減はありません。また、新たな試みとして小学校からのプログラミング教育が導入されますが(5年生の算数、6年生の理科及び総合的な学習の時間で履修)、直接的なコンピュータ技術の習得ではなく、前段階である「プログラミング的思考」を育てるのが目的です。自分が意図するものを作るのに必要なのは何か、それをどう組み合わせればよいのかを論理的に考え、トライ&エラー(考えを実行→うまくできなかったら「なぜ?」と考える→最初に戻ってやり直す)によって実現する。問題解決のために必要となる力を育むものとお考えください。新しい試みは多いものの、いずれの教科も児童に負担感がないように学習を進めていきますから、特に心配はいりません。お子様が学習内容に興味が持てるよう、応援してあげましょう。
- 授業時間の1単位時間は45分。自治体によっては新指導要領の3・4年35時間、5・6年70時間を先行実施する場合もある。
- *ALT=Assistant Language Teacher、外国語指導助手
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明光2020教育改革室
岡田直将
これからの時代に対応する、先進的な教育に向かっている
このような大きな変化があるときは「なんでうちの子に?!」と不運に思ってしまう保護者の方もいらっしゃいます。しかし、前述にあるように学習指導要領は10年に1度程度に見直しが行われており、小・中・高の12年間で影響を受けないことの方が珍しいとも言えます。今回の変化は、教育改革といわれるほど、従来の見直しに比べて変化は大きいのですが、これからの時代に対応する、先進的な教育に向かっているとも考えられます。 教育改革を通じて、子どもたちにこれからの時代をたくましく生きていく力を身に付けてもらえるよう、私たちも全力でサポートしていきます。
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