2021.04.26
徹夜で勉強すると効率が悪い?最良のやり方と徹夜の回避方法

「テスト勉強が足りないかもしれない」「このままでは悪い点を取りそう」など、テスト前には多くの人が不安を感じるものです。そういったときに、普段よりも勉強時間を増やすために徹夜を考える人もいるでしょう。
テストでよい点数を取るためにはやむを得ないのかもしれませんが、徹夜での勉強は効率が悪い勉強法といわざるを得ません。
この記事では、徹夜で勉強すると効率が悪いといわれる理由と、やむを得ず徹夜で勉強する際のやり方について解説します。また、できることなら避けるべき徹夜での勉強について、回避するために普段から心がけておくべきポイントもお伝えします。
徹夜で勉強するのは効率の悪い勉強法
徹夜でする勉強は、眠る時間を削るため効率が悪い勉強法です。
まずは徹夜でする勉強の効率が悪い理由について詳しく見ていきましょう。
記憶は睡眠中に定着
人間の脳は、その日見たことや知った情報を寝ている間に整理し、記憶として定着させます。つまり日中や就寝前に学習した内容は、眠ることによって脳に記憶として残るのです。そのため、勉強した後に眠ることができない徹夜での勉強は、勉強した内容が脳に定着しにくいといえます。
テストの前日に徹夜をすれば、翌日は一時的に記憶が残っているので、テストに役立てることができるかもしれません。しかし脳には定着しにくいため、数日経つとほとんど忘れてしまうでしょう。
たとえテストを乗り切れたとしても、せっかく勉強した内容が記憶に残っていなければ、身についているとはいえません。また、受験の際には改めて勉強しなければならなくなります。勉強した内容を記憶として長く保つためには、睡眠が非常に大切なのです。
試験にベストコンディションで臨めない
試験前日は、「明日が試験本番」と追い詰められたような気持ちになるものです。そのため、「勉強しなければならない」「絶対によい点を取る」という緊張感から夜中に目が冴えて、徹夜したほうがかえって勉強に集中できる人も多いです。
しかし徹夜で勉強すると、本来眠る時間を削って脳を活動させ続けることになるため、脳や体には負担がかかってしまいます。
徹夜で勉強して試験に臨むと、試験中に眠気が襲ってきて、思考力や集中力が低下する恐れがあります。普段なら間違えないような簡単な問題で、ケアレスミスをしてしまうかもしれません。
最悪の場合、試験中にうとうとと眠ってしまうことも考えられます。「眠ってはいけない」とはわかっていても、睡眠不足による眠気は自分ではコントロールできない可能性があります。
徹夜で勉強した結果、ベストコンディションで試験に臨めないのは、本末転倒といわざるを得ません。
徹夜で勉強するメリットは?
徹夜での勉強は勉強法としては効率が悪いといえますが、メリットがまったくないわけではありません。
ここでは、徹夜で勉強するメリットについて確認しましょう。
ギリギリのタイミングでも時間が確保できる
テスト前日というギリギリのタイミングでも、徹夜なら一定の勉強時間を確保できます。一般的な睡眠時間は6~8時間なので、その分勉強時間が増えることになります。
夕食を食べてお風呂に入った後の数時間も加えれば、1回の徹夜で数日分の勉強時間を確保することができるでしょう。
気が散りにくい
徹夜をしなければならないほど追い込まれている状況なので、集中力はかなり高まるでしょう。普段の勉強とは違い、脳も活性化して気が散りにくい状態になるはずです。
また、深夜は家族が寝静まるため、家の中が静かです。友達も寝ているので、スマホが鳴って勉強を中断することにもならないでしょう。
このように、徹夜で勉強すると時間を有効に使えるというメリットがあります。
定期テストになら間に合わせられることがある
出題範囲がある程度決まっている定期テストなら、徹夜で勉強して頭に詰め込むことで点数が上がることもあります。
中学校の定期テストの点数は、内申書にも影響します。そのため、「試験範囲まで勉強できていない」というときは、一時凌ぎの策にはなるでしょう。
ただし、徹夜での勉強はデメリットのほうが圧倒的に多い勉強法なので、模試や高校入試前夜は絶対に避けるべきです。早いうちから計画的に勉強できるようにしておきましょう。
徹夜がもたらす長期的な悪影響
長期的に見ても、徹夜で行う勉強は脳や体に悪影響を及ぼします。どのような悪影響があるのか、詳しく見ていきましょう。
疲労の持ち越し
徹夜で勉強を行うことで、脳や体はひどく疲れます。
睡眠時間は、1日の疲れを取るために必要なものです。徹夜で勉強すると「日中の疲れ」に加えて「寝ないで勉強する」という負荷がかかるので、心身ともに疲労してしまいます。その疲労はテスト後に体を休めてもなかなか回復せず、数日間にわたって勉強の効率が悪くなることもあります。
生活リズムの乱れ
徹夜をすると、生活リズムが乱れます。
例えば徹夜で勉強する際、夜食を取ることもあるでしょう。
人の体は、体内時計に沿って動いています。本来眠って体を回復させている時間に内臓が働かされると、体内時計が狂ってしまいます。
また、徹夜明けで学校に行けば、授業中に居眠りをしたり、学校から帰宅した後、疲れて眠ってしまったりすることもあります。その結果、夜に眠れなくなり、生活リズムが夜型になってしまいます。
このように、徹夜をした後は、崩れた食事や睡眠のリズムを正常な状態に戻すのに時間がかかります。
体調への悪影響
徹夜での勉強は、疲労や不規則な生活リズム・食事によって健康に悪影響を及ぼします。眠る時間を削ってしまうと、その後の受験勉強にも影響する恐れがあります。
睡眠が足りないと体のコンディションが悪くなり、免疫力が低下します。感染症にもかかりやすくなるでしょう。睡眠不足で「風邪をひきやすくなった」「頭痛が増えた」「お腹をこわしやすくなった」という人は少なくありません。
心身の発達への悪影響
徹夜で勉強を行うことは、成長ホルモンが分泌される時間帯に起きていることになるため、心身の発達にも影響が及びます。
子どもが育つ上で、睡眠はとても重要です。
寝ている間に成長ホルモンが分泌されることで、疲れた脳や体が回復したり、骨や筋肉が成長したりします。しかし、徹夜で勉強したのが原因で夜型の生活になると、成長ホルモンが分泌されにくくなります。夜型の生活になると、身長が伸びにくくなるといわれるのはそのためです。
また、脳の発達にも影響があるといわれています。成長期には体だけでなく脳も発達しますが、徹夜での勉強を続けていれば脳の成長も妨げることにつながるでしょう。
脳が正常に発達しにくくなるうえに、慢性的な睡眠不足になることで働きも鈍ってしまいます。
成長期の睡眠不足や不規則な生活は、脳を含む心身の発達にも悪影響を与えるのです。
それでも徹夜で勉強するときの効率的なやり方

徹夜で勉強を続けると体に悪影響が出ますが、「どうしても徹夜をしなければならない」という状況もあるかもしれません。そんなときのために、効率的なやり方を覚えておきましょう。
少しだけ仮眠を取る
徹夜で勉強するからといって、まったく眠らないでいると、翌日は頭がもうろうとします。大事な試験中に眠ってしまったら、後悔してもしきれませんよね。
そのため、徹夜で勉強をする際は、少しだけ仮眠を取るようにしましょう。
ただし、本当に眠って翌朝を迎えてしまっては意味がありません。また、長時間の仮眠も禁物です。30分以上の仮眠は、起きたときにだるさを感じやすくなります。
15~30分程度の仮眠を取った後、翌日の試験に向けて徹夜で勉強をするとよいでしょう。
気分転換を図る
徹夜で勉強をする際は、集中力を維持するため、ときどき気分転換をするようにしましょう。同じ勉強を続けていると飽きて眠くなってしまうこともあるので、タイミングを見計らって教科を変えるのもおすすめです。
また、同じ姿勢で机に向かっていると、体が疲れます。「椅子から立ち上がって体をストレッチする」「部屋の中を歩く」など、軽い運動を行うと眠気覚ましにもなります。
夜食を取る
徹夜で勉強する疲労は大きいため、夕食を食べても次第にお腹が減ってきます。お腹がすいた状態では脳の働きが鈍るので、エネルギーや栄養を補給することが大切です。
ただし夜という時間帯を考えると、何を食べてもよいわけではありません。消化の悪い食べ物を夜中に食べると、消化不良を起こしやすくなります。胃腸に負担がかからない、消化のよいものを選んで食べるようにしましょう。
カップラーメンは腹持ちがよいですが、血糖値が急激に上がりやすいので、徹夜で勉強する際の夜食としては避けたほうがよいでしょう。
ブドウ糖やカフェインに頼らない
エネルギー補給のためのブドウ糖や眠気覚ましのカフェインは、徹夜で勉強を行うときには欲しくなるかもしれません。しかしブドウ糖は血糖値の急上昇につながりやすく、カフェインは一時的に集中できても朝方の疲れを引き起こしやすいです。
飲むとすっきりした爽快感を味わえるため、エナジードリンクは人気があります。しかし、飲み過ぎるとカフェインや糖分の取り過ぎになってしまうので、注意が必要です。
体への影響を考えると、お菓子やエナジードリンクに頼るよりは、仮眠などを選ぶことをおすすめします。
速やかに元の生活リズムに戻す
徹夜の悪影響を長引かせないために、試験が終わったら睡眠をしっかり取るようにしましょう。また、早起きをして生活リズムを整えることも大切です。
徹夜明けの疲れが残っているかもしれませんが、多少無理をしても速やかに正常な生活リズムに戻すようにしましょう。
徹夜での勉強を避けるためには
これまで紹介したとおり、徹夜で勉強を行うのは体に悪影響を及ぼすので、できることなら避けたい勉強法です。
徹夜で勉強しなくても済むように、普段からできる工夫について見ていきましょう。
長期的な学習計画を立てる
学校で行われる試験なら、前もって日程がわかります。試験前に慌てないように、早い段階で学習計画を立てておくことが大切です。各教科の試験範囲に合わせて、勉強時間がどのくらい必要かを書き出して可視化しておくと、計画を立てやすいでしょう。
長期的な学習計画を立てることは、受験対策にもなります。受験勉強の練習と捉えて、定期試験の前には余裕を持って学習計画を立てるようにしましょう。
毎日少しずつ勉強時間を確保する
テストの直前に徹夜で勉強時間を確保するよりも、毎日少しずつでも勉強を積み重ねていくほうが記憶に残りやすく、成績アップにつながります。
「1日1時間ずつの勉強」と聞くと少ないイメージがあるかもしれませんが、長期的なスケジュールを立てて取り組めば、前日に徹夜するよりもはるかに長い勉強時間を確保できます。さらに、徹夜でする勉強のように一気に詰め込む必要がないため記憶が定着しやすく、学習効率も高まるでしょう。
生活を朝型にする
普段から朝型の生活を心がけて、学習効率を高めておきましょう。早起きの習慣が身についていれば、試験当日の朝も時間に追われることがありません。
朝型の生活なら、試験前日でもしっかり睡眠を取り、当日の朝は早起きして最後の見直しができます。そして、余裕をもって試験に臨めるでしょう。
まとめ
勉強が間に合わず切羽詰まったときには、徹夜での勉強に頼らざるを得ないかもしれません。しかし、徹夜は成長期の体には負担が大きいため、できるだけ避けたいところです。
どうしても徹夜で勉強しなければならないときには、徹夜で行う勉強のデメリットや効率的な勉強法を踏まえた上で、慎重に行うようにしましょう。
また、このような徹夜での勉強を避けるためには、普段から計画的に勉強する習慣を身につけて、慌てて徹夜しなくても済むように備えることが大切です。
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