2022.07.12 2023.10.08
学校での英語教育はいつから始まった? 歴史から最新事情まで紐解きます!
2020年より英語の授業が小学3年生から義務化され、学校教育における比重が年々増加傾向にあります。
英語教育は、江戸時代から行われており、現在に至るまで、さまざまな社会情勢の変化に合わせて再開と断絶を繰り返しています。
本記事では、英語教育がいつから始まり変化してきたかを、歴史や最新事情を交えて解説します。
もくじ
日本の英語教育はいつから始まった?
日本の英語教育はいつから始まったのかご存じでしょうか。江戸時代にさかのぼり、英語教育の歴史をお伝えします。
英語教育は江戸時代から始まっていた
まず、最も古い英語教育は1600年頃までさかのぼり、ウィリアム・アダムズ(三浦按針)が幾何学(きかがく)や数学、航海術など西洋の知識を伝えるために実施したといわれています。
ウィリアム・アダムズは徳川家康に召し抱えられ、通訳や船大工などを行い活躍しますが、家康の死後は冷遇されました。
また、政府より他国との貿易を禁止する鎖国によってオランダを除く西欧各国との交流が100年以上行われなくなったため、英語教育も断絶することになります。
しかし、鎖国中の1808年に、イギリス船がオランダ船と偽って入国し、長崎湾内で乱暴を働いた「フェートン号事件」が起きたことを機に、江戸幕府は英語教育の必要性を痛感します。
黒船来航によって開国も行い、欧米との交流も増えたことから、英語の辞書や教科書も作られ、積極的な英語教育が始まりました。
明治期には中学校での英語教育が開始
明治時代に入ると、西洋の文明が導入されて社会制度や習慣が一気に変わります。
文明開化によって西洋文化が知れ渡ったことから、英才教育の一環として英語が中学校で教えられるようになり、一部の小学校でも英語教育が始まりました。
1881年(明治14年)には、中学校における外国語教育の時間に週16時間が割り当てられていたようです。
その後は、ナショナリズム(国家主義)の台頭などにより日本語教育が強化され、小学校での授業が廃止されるなど英語教育は一部後退しますが、それでも積極的な英語教育が続けられてきました。
社会情勢により断絶
明治時代に最盛期を迎えた英語教育ですが、第二次世界大戦に近づくにつれ社会情勢が変化し、再度断絶します。
断絶のきっかけはアメリカによる排日運動の開始です。第一次世界大戦以降、日露戦争に勝った日本をアメリカは警戒します。
また、アメリカで日本人移民が増えたことによってアメリカ人の雇用機会が奪われたことから、日本人を排斥する運動が市民の間でも広がりました。
1924年には排日移民法が成立します。年を追うごとに排日の動きは広がり、それに伴って日本でも対欧米感情が悪化、「敵性言語」として英語教育が行われなくなりました。
陸軍中野学校などのごく一部では、諜報活動のため教育を継続しましたが、一般的な教育課程からは省かれ実質的に英語教育が断絶しました。
特に第二次世界大戦中は、カレーライスなどすでに浸透していた言葉に対しても、日本語を使うようになっています。
GHQ下での再開
第二次世界大戦が終了し、日本が敗戦した後は、連合国最高司令官総司令であるGHQによる占領統治下、GHQの一部であるCIEの指導下で1946年から英語教育再開が議論されるようになりました。
その結果、1951年より中学校で選択科目として英語教育が再開します。
なお、英語教育自体は再開しましたが、アメリカの教育を模写することを前提に「詰め込み型教育」が始まったため、教育内容は戦前と大きく異なっています。
1951年以降は50年間にわたって選択科目での教育が継続されましたが、2002年に中学校での必修化が行われました。
小学校で英語教育を実施するようになったのはいつから?
それでは、第二次世界大戦後、小学校で英語教育を実施するようになったのはいつからでしょうか。小学校の英語教育における歴史をお伝えします。
1992年から一部で開始
まず、小学校での英語の授業を実施するか、議論が始まったのは1986年です。
1980年代には高度経済成長に伴ってグローバル化が進んだため、英語を話せる人材の確保を重要視していました。
しかし、中学以降の英語教育では十分な成果を挙げられていないことから、小学生から英語教育を学ばせることに注目が集まります。
その結果、1992年に大阪にある研究開発学校で英語教育を試験的に実施することになり、各都道府県に1つずつ研究開発学校が指定され、小学校での英語教育が広がりました。
2002年から本格的に導入
上記で行われた研究開発学校での英語教育が一定の成果を得たため、2002年になって全国の小学校で本格的に英語教育が取り入れられるようになります。
教育の水準を保つことを目的とした、小学校学習指導要領に告示されたのは1998年であり、そのなかで「総合的な学習」として外国語を入れることが決定しました。
この決定により、小学3年生以上の授業において英語学習に時間が確保できるようになったため、瞬く間に英語教育が広まります。
あくまで総合的な国際理解教育の一環であるため義務教育ではありませんが、保護者から英語教育に対する要望も強く、数多くの小学校で英語教育が実施されました。
また、同じ学習指導要領において、中学校における英語教育の義務化も行われたため、小中学校において英語教育が強化されたことになります。
小学5、6年生は2011年から必修科目に
2002年に小学校での英語教育が始まった後も、英語教育を強化する流れは続きます。
2011年には、小学校学習指導要領が再度改訂され、小学5、6年生で「外国語活動」として必修化され、年間35単位時間という授業時数が確保されるようになります。
さらに、2020年には3年生からに引き下げ、5、6年生で教科化されるようになり、小学3,4年生の時点で年間35単位時間の授業が割り当てられ、5、6年生では成績にも反映されるようになりました。
何年生から英語教育が開始される?
それでは、現在の英語教育では何年生から英語教育が始まり、どんな内容の授業が行われるのでしょうか。学年ごとの英語教育の詳細について解説します。
小学校3年生から英語教育を開始
まず、英語教育が開始されるのは小学校3年生です。
2020年以降、すべての小学校で小学3、4年生から週1コマの英語教育が行われ、年間で35時間の単位時間が設定されています。
小学3、4年生では「聞く力」「話す力」を中心に養うため、あいさつを始め、歌やクイズ、発表などのコミュニケーションに必要な英語を使った体験を通じて英語を学んでいきます。
英語に慣れ親しむことが目的とされているため、教科として成績はつきません。
5年生からは成績もつく
続いて、小学5年生以上では英語が成績にも反映されるようになります。
2020年より、5年生以上での英語教育は教科として格上げされました。
教科として扱われると、週2コマの英語教育が行われ、年間70コマの授業が割り当てられるようになり、成績もつくようになります。
また、5年生以上で行われる授業では、より実践的な「聞く力」「話す力」が問われるようになり、日常的な会話を聞き取り、状況に合わせて質問する力が求められます。
同時に「読む力」「書く力」も必要です。アルファベットや文法を学び、日本語との違いを理解して使う、総合的な能力が養われます。
小学校の英語教育必修化の目的とは?
このように、2022年7月現在では小学校からさまざまな英語教育を行っていますが、小学校において英語教育を必修化させた目的とはなんでしょうか。
コミュニケーション能力の形成
まず目的として挙げられるのは、コミュニケーション能力の形成です。
幼い間は、大人の日本人が聞き取りづらい発音でも柔軟に理解する音声的な能力に優れていることから、英語学習の低年齢化を図ることで英語能力の底上げができます。
また、コミュニケーション能力の向上は国語力や思考力の向上にもつながるため、英語教育を通じて総合的な能力を伸ばせるという側面もあります。
グローバル人材の育成
次に挙げられることは、グローバル人材を育てるうえでメリットがあることです。
日本は、グローバル人材の育成において遅れを取っているといわれており、早急に対策を講じる必要があります。
英語教育は、語学を通じて異文化への理解や関心を高めることにつながるため、海外でも活躍できるグローバル人材を育てる基礎作りとして有効です。
また、異文化に対する柔軟性も身につくことから、海外に対する抵抗も減り、社会改善にもつながります。
お子さまの英語教育はいつから始めるのがよい?
ここまでご紹介しましたが、お子さまの英語教育はいつから始めるのがよいのでしょうか。
前述した通り、幼い頃の方が英語を理解しやすく、音声的な能力の向上に優れていることから、英語学習を始めるのは早ければ早いほどよいでしょう。
小学5年生からは成績がつき、進路にも影響するため、特に中学受験を考えている場合は早急な受験対策も必要となります。
受験対策でなくとも、小学校から学び始めるより前に英語に親しみをもたせておくことは有意義なので、就学時などから英語学習を始めておくことをおすすめします。
とはいえ、小学生は勉強自体に慣れていないため、楽しみながら少しずつ勉強を習慣化させる必要があります。
ネイティブの発音に触れるなど、効果的に英語を学ぶには工夫が必要のため、お子さまの英語学習をどう進めるか悩むのであれば、「明光キッズe」の活用をおすすめします。
明光キッズeでは、少人数のクラスを組み、ネイティブ&バイリンガルの講師がダブル体制でサポートすることで、1日最大5時間の活きた英語を学べます。
勉強の習慣づけから英検対策まで、幅広いレベルのお子さまの学習にも対応しているため、効果的にお子さまの成長を促せるでしょう。
まとめ
英語教育は江戸時代から始まり、幾度かの断絶があったものの、重要度の高い教育として学校教育に取り入れられてきました。
2020年に小学3年生からの英語教育が義務化されるなどの変化があり、今まで以上に英語を重要視した教育が行われています。
小学5年生からは成績に含まれるため、特に中学受験などで内申点が必要な場合は学校外でも英語教育を行うことをおすすめします。
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