2019.01.23
子育て心理学:わかってはいるけど難しい!教えて「褒め方の技術」
編集担当
      お子さんを褒めることが大切だとは分かっていても、いざ実践となると何と声をかけたらいいのか分からない、という保護者は少なくないようです。「褒めるための言葉が思い浮かばない」なんていう声もよく耳にします。
      そこで今回は、法政大学心理学科・渡辺弥生教授に褒め方のコツを教えてもらいながら、私たちも一緒に使えそうな褒め言葉を考えてみました。ぜひ参考にしてみてくださいね。
    
その1. 褒めたいときに使える「あたたか言葉」
 
  お子さんをもっと褒めたいという気持ちがあっても、その時にぴったりな言葉が思い浮かばずなかなかうまく表現できないという悩みはよくあるようです。
    そんなときは、お子さんの優れた行動、態度、意思などに「あたたか言葉」をプラスして伝えてみてください。
    「あたたか言葉」とは例えば次のようなものです。
  
    ・すごい
    ・上手
    ・丁寧
    ・素晴らしい
  
「すごく真剣だったね」「上手に組み立てられたね」「丁寧に掃除してくれたね」「声が大きくて素晴らしい朗読だったよ」。このように、お子さんを見ていて気がついたことを、あたたか言葉に繋げて表現すれば、褒め言葉は無限に増えていきます。
使える「あたたか言葉」
お子さんを褒めるときに使えそうな「あたたか言葉」を集めてみました。
      ・うまい
      ・面白い
      ・落ち着いている
      ・がまん強い/よく耐えた
      ・やるじゃん
      ・マネできない
      ・やったね
      ・さすが
      ・できたね
      ・頑張ったね
      ・うれしかったよ
      ・最後までやりきったね
      ・よく粘ったね
      ・力を抜かなかったね
      ・得意なんだね
      ・よかった
      ・はやかった
      ・よく思いついたね
      ・よく考えたね
      ・よく気がついたね
      ・よく分かっているね
      ・よく覚えたね/よく知っているね
      ・気が利くね
      ・工夫したね
      ・ナイスアイディア
      ・バランスがいいね
      ・きれい
      ・賢い
      ・鋭い
      ・優しい
      ・親切
      ・感動した
      ・完璧だね
      ・えらい
      ・すごい
      ・上手
      ・丁寧
      ・素晴らしい
    
その2. 観察と分解で褒めポイントをみつける
 
  上に「あたたか言葉」を羅列しましたが、実は「あたたか言葉」自体のバリエーションはあまり多くなくて構いません。大切なのは、褒める内容を具体的にすることです。
    例えば、勉強に関して褒めようと思うとき「よく算数ができるね」、「国語が得意なんだね」と大雑把なくくりで褒めてしまうとその後、褒める機会を失ってしまいます。
    たくさん褒めるためにはできるだけ褒めるポイントを分解するといいでしょう。
  
    例)「よく算数ができるね」
     →「計算が早いんだね」
     →「よく読み解けたね」
     →「丁寧に図を描いて、よく理解しているね」
     →「難しい問題に挑戦してえらいね」
     →「大切なことがよく分かっているね」
  
    例)「国語が得意なんだね」
     →「たくさん漢字を覚えたね」
     →「字がきれいだね」
     →「難しい言葉を知っているね」
     →「大きな声で朗読ができるね」
     →「じっくりよく読めたね」
     →「作文が上手だね」「表現力があるね」
  
「本を読むのが上手」と褒める場合にも、「大きな声で読めてすごい」、「感情を込めて読んでいるのが素晴らしい」、「難しい漢字を読めたね」とさらに分解することで褒めるポイントは増えていきます。
    お子さんの行動を観察して分解するにはコツは、カテゴリーごとに分けて考えることです。
    スポーツが得意なお子さんを褒める場合を例にあげます。
  
(1)「運動が得意なんだね」という前に運動に何の要素があるのかを考える
→走る、投げる、飛ぶ、ゲームの工夫 など
(2)上記の内容のうち、その子は何が得意なのかを観察する
例)速く走れる、長く一定の速度で走れる、遠くにボールを投げられる、狙った場所に正確にボールを投げられる、飛んできたボールを正確にキャッチできる、ボールを怖がらずに捕れる、高くジャンプできる、遠くへジャンプできる、動きにアイデアがある、ゲームをコントロールできる、など
(3)気がついたことを伝えて褒める。時間が経てば過去と同じことを言っても良い。
    ここまでで、褒めるためにはまず観察をすることが大切だということにお気づきいただけたと思います。
    褒めるポイントがみつからない、という場合はまずお子さんをじっくり観察することから始めてみてください。
  
その3. 褒められて嬉しかったことを思い出す
 
  
    お子さんを褒めるときには、保護者のみなさんが褒められた経験を思い出してみてください。褒められて嬉しかったときは、適切なタイミング、適切な内容で褒められたときに嬉しいと感じたのではないでしょうか?
    無理して褒めてしまった場合、お子さんはその本心にすぐ気づきます。そんなときは無理して褒めなくてOK。「褒める技術」は有効なタイミングで使ってください。
  
 
        渡辺弥生教授
先生からのメッセージ
          今の保護者世代のなかには、あまり褒められた経験を持たない人もたくさんいらっしゃいます。自分が褒められた経験がなければ、お子さんの褒め方がわからないのは仕方のないことなのかもしれません。
          まずは保護者のみなさんがお友達同士で褒め合うということをしてみて、その喜びや効用を実感してみるといいかもしれません。
        
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