2020.10.23
大学受験の費用はどのくらい?内訳や費用を抑えて合格するコツ

【2021/12/28更新】大学受験のしくみは以前より複雑化しています。勉強をがんばる受験生本人だけでなく、保護者のサポートも重要になってきています。
最近では、現役合格を目指して複数の大学を併願する、ということが一般的ですが、その分、受験時の費用も多くかかります。また、大学受験のための塾・予備校に通うなど、大学生になるまでに必要な費用は他にもあります。
この記事では、大学受験にかかる費用の内訳や、費用を抑えるコツについてご紹介します。
大学受験そのものにはどんな費用がかかる?
大学受験には、受験料以外にもさまざまな費用がかかります。実際にどのような費用がかかるのでしょうか?
内訳をチェックしてみましょう。
受験手続きに必要な費用
まず、大学を受験する際には、その大学の願書が必要です。大学から願書を取り寄せる場合、無料の大学もありますが、1セット200円~1,500円ほどかかる大学もあります。最近はインターネットで出願書類を作成する大学も多く、願書の取り寄せが不要な場合も増えています。
出願書類を作成するにあたっては、高校でもらう調査書、証明写真などが必要になり、それぞれ費用が発生します。また、出願書類は郵送での提出がほとんどなので、簡易書留などの郵送料なども必要になります。
受験料
大学受験には受験料も必要です。受験料は大学や受験方法によって異なります。
大学入学共通テストの受験料は、2教科以下の場合は1万2,000円、3教科以上受ける場合は1万8,000円と受験教科数によって変動します。後日成績通知を受け取りたい場合には800円が加算されます。
国公立大学の受験料は、大学入学共通テストの受験料に加え、2次試験の受験料が1校につき1万7,000円程度かかります。
私立大学の受験料は大学によって異なりますが、個別試験の場合、1校につき約3万5,000円、歯学系・医学系の大学では4万~6万円程度かかります。共通テストを利用する受験方式では、少し安くなることが多いです。大学によっては、複数回受験すると受験料が割引になることもあります。
交通費・宿泊費など
受験校が遠方の場合、受験する際に交通費や宿泊費、食費などがかかります。保護者が付き添う場合は、その分費用が多くかかります。
ただし、最近では遠方の学生が受験しやすいよう、全国の主要な都市に会場を設置する「地方試験」を実施する大学・学部も増えつつあり、交通費などを抑えられることもあります。
併願する大学の入学金
大半の受験生は、第一志望校だけでなく併願校や安全校も受験するのではないでしょうか。
安全校の多くは受験日が早く、第一志望校の合格発表前に入学金を納めて入学資格を保持しなければならないことがあります。
入学金の振込期限が過ぎると入学資格はなくなってしまいます。入学する・しないに関わらず、第一志望校だけでなく安全校の入学金も準備しておく必要があります。
大学受験における1人あたりの費用平均はどのぐらい?
大学受験にかかる費用の内訳についてご紹介しましたが、それぞれいくらくらいの費用がかかるのでしょうか?
日本政策金融公庫が発表した「令和2年度教育費負担の実態調査結果」によると、子ども1人あたりの大学にかかる入学費用は平均89.7万円です。
この金額には、受験料や受験のための交通費などの受験費用の他に、入学時に大学に納付した金額、入学しなかった大学に納付した金額も含まれます。
以下の表のように、入学先が国公立大学の場合、私立大学の文系、理系の場合とで費用が異なります。
入学先 | 入学する大学に納付した金額 | 受験費用 | 入学しなかった大学へ納付した金額 |
---|---|---|---|
国公立大学 | 31.6万円 | 30.5万円 | 14.8万円 |
私立大学・文系 | 50.3万円 | 35.5円 | 9.3万円 |
私立大学・理系 | 51.9万円 | 31.9万円 | 10.5万円 |
※上記の数値は、全受験生の平均金額です。
※入学しなかった大学へ納付する金額は、一般的に1大学あたり約20~35万円です。
受験費用については入学先によって約5万円の差があることがわかります。
入学しなかった学校へ納付した金額の平均は9~15万円ですが、併願校の数や受験戦略によって大きく異なります。
遠方の大学を受験する場合は、前もってアパートの敷金や家財道具の購入費など、自宅外通学を始めるための費用も用意しておく必要があります。
令和2年現在、自宅外通学者のいる世帯の割合は全体の27.4%で、自宅外通学を始めるための費用は、入学者1人あたり平均39.3万円かかっています。
自宅外通学の場合、入学費用以外の費用も必要です。私立大学に合格して自宅外通学を始めるとなると、平均で約135万円が必要になります。
大学受験の費用を抑えるには?

ここまでご説明した通り、大学に入学するまでには77~95万円ほどかかります。大学受験の費用を少しでも抑えるためには、どうすればよいのでしょうか。
ここからは、大学受験の費用を抑えるコツをご紹介します。
割引制度を最大限利用する
大学によっては、受験の際に割引制度を実施しているところがあります。
例えばある私立大学では、同じ大学の複数の学部を併願する場合、受験料が割引になる制度があります。割引額や割引内容は大学によって異なりますが、他の大学を併願する場合よりお得に受験できます。インターネット出願によって受験費用が割安になる場合もあります。
遠方の大学を受験するときには、早めに計画を立て、交通費の学割や早割なども活用すると、交通費なども抑えることができます。
安全校の入学手続き日より前に合格発表日がある入試を選ぶ
入学しない大学の入学金を極力払わなくて済むようにしておくのもポイントです。
安全校の入学手続き日が早いと、第一志望校や併願校の合格発表前に、入学手続きのために入学金を支払わなくてはならない場合もあります。
受験校を決めるときには、入試日だけでなく、入学手続き締切日と合格発表日の日程を確認しておきましょう。
効率よく受験できる併願方法を考える
受験する大学のエリアや時期がバラバラだと、交通費や宿泊費がかさみます。また体力的な負担も大きくなります。
安全校や併願校を受験する際には、なるべくエリアや受験日の近い大学を組み合わせるようにしましょう。また地方試験がある場合は、積極的に活用しましょう。
現地の親戚や縁者などを頼る
遠方の大学を受験する際には、宿泊費や交通費などがかかり、出費が多額になることもあります。遠方の大学を受験する場合には、親戚などがいる地域で受験するのも費用を抑える一つの方法です。
入試前日に泊めてもらうことができれば、宿泊費を大幅に減らすことができるだけでなく、親戚などの元で過ごせるので、保護者も安心して任せられるのではないでしょうか。
受験校を絞り込む
どうしても費用の捻出が難しい場合には、ある程度受験校を絞り込む必要が出てきます。
その場合に気をつけたいのは、安全校を減らさないことです。受験校を減らした影響でどこにも合格できず、1年浪人をすることになったら、元も子もありません。
第一志望校は、もちろん受験するべき大学です。それ以外の受験校は、受験日、受験会場、入試問題の傾向などを勘案して絞り込みましょう。
学資ローンなどを利用する
大学受験費用を捻出するのがどうしても難しい場合は、学資ローンを利用するのも一つの方法です。官民の学資ローンは、受験費用にも充てられます。さらに学資保険で備えておけば、より安心です。
受験費用の工面が心配な方は、検討してみましょう。
大学受験のための塾にかかる費用は?
大学受験を目指して塾に通う受験生は多いです。塾はいくらぐらいお金がかかるのでしょうか。文部科学省の「子供の学習費調査」をもとにご紹介します。
塾に通う受験生の割合は?
「平成30年度子供の学習費調査」によると、塾に通う高校生の割合は公立高校、私立高校の生徒ともに約38%です。公立高校の生徒も3人に1人は通塾していることがわかります。
このデータは高校生全体の通塾率を調査したものなので、受験生に限ればより高い比率になります。
高校生の学習塾費用の平均は?
学習塾では毎月の授業料の他に、入会金、教材費、諸経費などがかかります。
「平成30年度子供の学習費調査」によると、塾に通う高校生が1年間に支払った学習塾の費用の平均は、公立高校で約28万3,000円、私立高校で約33万8,000円となっています。年間40万円以上支払っている生徒の割合が最も多く、公立高校で約24%、私立高校で約34%です。
これから塾に通うことを検討している方は、これらの金額を参考にしてください。
塾のタイプ別による費用の相場は?
高校生向けの塾には、複数の生徒が1つの教室で授業を一緒に受ける集団塾、生徒一人ひとりに合わせた学習指導を受ける個別指導塾などがあります。塾のタイプによって費用が変わります。
集団塾の場合は、高校1,2年生では年間40~50万ほどですが、高校3年生では年間50~70万円ほどかかります。塾によっては毎月10万円以上かかる塾もあり、集団塾によっても費用に大きな差があります。
個別指導塾では、高校1,2年生では年間50~80万円ほど、高校3年生では年間60~100万円ほどの費用がかかります。費用を安く抑えることもできますが、1ヶ月の通塾回数が限定されてしまいます。
個別指導塾では一人ひとりに合わせた指導が受けられるため、集団塾よりも費用が高くなることが多いです。
集団塾・個別指導のどちらにおいても、塾によって費用にはばらつきがあります。医学部などを志望している場合、専門塾の費用が年間200万円を超えることもあります。
大学受験の費用の考え方について
大学受験の費用は、保護者にとって悩みの種かもしれません。ただ、今かかる費用だけを考えるのではなく、長い目で見て費用がかからないようにすることが重要です。
ここからは、受験生の保護者に知ってもらいたい費用の考え方についてご紹介します。
学受験の費用は抑えればよいとは限らない!
大学受験の費用を少しでも抑えようと、さまざまな工夫をされている保護者は多いです。
ただ、費用を抑えたいがために、塾の費用や必要な経費を無理に削っていないでしょうか。
受験生にとって、勉強に集中できる環境があることは重要です。
高校生は行動範囲も広がり、色々なことに気が散りがちなもの。家では勉強に集中できず、「塾に通うほうが効率よく勉強ができる」という高校生も多いのではないでしょうか。
また、遠方の大学を受験する際、交通費や宿泊費を削ることによって、受験日当日に試験に専念できなくなるケースもあります。
これらの費用を削った結果、現役で合格できず浪人してしまうと、翌年の受験でまた多額の費用がかかることになります。
大学受験の費用をやみくもに抑えることはおすすめしません。費用をかけるべきところにはしっかりかけて、受験生をサポートしていきましょう。
高校1,2年生のうちから志望校を絞り込む
なるべく早期から志望校を絞り込むことで、受験費用を抑えることができます。
志望校が決まれば受験科目も決まります。受験科目に合わせた対策を早くから始められるということは、逆に、受験に使わない科目を学習する費用を減らすことも可能になります。
早めに志望校を決めると、併願校などを選ぶ時間の余裕もでき、余計な費用をかけずに併願できる受験方式や入試期間について、検討することができます。
早めに志望校を決めることができれば、効率よく勉強することができるので、その分合格にも近づきます。大学受験の費用だけでなく、時間の節約にもつながります。
まとめ
大学受験にかかる費用は決して安くありません。併願校の数によってはさらに高くなることもあります。
大学受験の費用を大幅に抑えることは難しいですが、高校1,2年生から計画的に進めていくことで、全体でかかる費用を抑えながら合格を目指すことができます。
そのためには、効率的な勉強方法と一人ひとりに合わせた的確な指導が必要です。
明光義塾では、高校生の学力や志望校に応じて、一人ひとりに合わせた学習プランを作成して指導していくので、効率よく志望校合格を目指すことができます。
大学受験のために通塾をお考えの方は、明光義塾にお気軽にご相談ください。
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