2021.02.26 2023.10.05
大学受験にはどんな科目がある?受験科目の種類や選び方を解説
大学受験で成功するために最も重要なことの1つが、受験科目選びです。受験科目は一部共通科目を除いて、文系・理系によって違いがあるのはもちろん、志望大学の入試方法によっても選択できる科目は異なります。
受験生の皆さんが正しい科目選びを行い、志望大学の合格を目指すために、この記事では受験科目の種類や選び方について詳しく解説します。
もくじ
受験科目を調べる前に!大学入試制度の種類をおさらいしよう
受験科目は大学ごとの入試要項から調べることができますが、入試方法によって受験科目数が大きく異なります。
受験科目を調べる前に、大学の入試制度にはどのような種類があるのかおさらいしましょう。
国公立大学
国公立大学合格を目指す場合、次の受験方法が考えられます。
・大学入学共通テストおよび2次試験である各大学の個別学力検査(一般選抜)
・総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)
一般選抜の2次試験では、前期と後期の2つの日程に分けて、募集人員を振り分けて合否を判定する「分離・分割方式」が採用されており、前期・後期で1校ずつ出願することも可能です。現在、一般選抜での募集が、定員の8割を占めています。
※一部の公立大学には中期日程もあります。
基本的に国公立大学の募集定員は少なく、難易度も高いのが特徴です。
私立大学
私立大学では、次の受験方法を用意しています。
①各大学が個別に行う学力検査のみで合否を判定する一般選抜
②大学入学共通テストの結果で合否を判定する方法
③大学入学共通テストと各大学の個別学力検査を併用する方法(国公立と同様の方法)
④総合型選抜、学校推薦型選抜
⑤その他、帰国生入試や給費生入試などの特別入試
このように、私立大学の入試方法はバラエティに富んでいるのが特徴です。大学個別の学力試験日がほとんどの大学で統一されている国公立と違い、私立大学であれば複数の学校を受験できます。
また、大学入学共通テストを利用した入試方法は、試験科目によっては、複数の大学や学部・学科に出願できます。そのため、一度の試験で複数の大学に出願できる、また、受験料を抑えられるというメリットがあります。
私立大学の多くがこの方法を実施していますが、募集定員が少なく、難易度が高いのがデメリットと言えるでしょう。
【科目一覧】大学入学共通テストでは6教科30科目が出題される
大学入学共通テストの出題科目は、6教科30科目です。大学入学共通テストを受験する人は、この中から、最大8科目(理科の一部を選択する場合は9科目)を受験しなければなりません。
大学入学共通テストの対象となる教科・科目の詳細を確認しましょう。
国語
「国語」は、他の教科のように科目は細分化されていません。高校の授業で行われる「国語総合」の範囲に該当し、現代文・古文・漢文という3種類が含まれています。配点は200点満点です。
※私立大学を志望する場合で古文・漢文を活用しない場合は、解答しなくて構いません。
地理歴史・公民
学校の授業で「社会」と呼ばれている教科は、大学入学共通テストにおいて「地理歴史」と「公民」と呼ばれます。
「地理歴史」の出題科目は「世界史A」「世界史B」「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」の6科目。「公民」の出題科目は、「現代社会」「倫理」「政治・経済」「倫理、政治・経済」の4科目です。
合計10科目から最大2科目選択することができ、1科目の場合は100点、2科目の場合は200点と配分されます。ただし、同一名称を含む科目を組み合わせることはできません。
数学
「数学」は「数学I」「数学Ⅰ・数学A」「数学Ⅱ」「数学Ⅱ・数学B」「簿記・会計」「情報関係基礎」の計6科目に分かれています。
「数学I」「数学Ⅰ・数学A」の2科目のうち1科目と、「数学Ⅱ」「数学Ⅱ・数学B」「簿記・会計」「情報関係基礎」の4科目のうち1科目の計2科目まで選択できます。どちらも点数は100点ずつ配分されます。
理科
「理科」には「物理」「化学」「生物」「地学」の4科目を軸に、基礎を中心とした「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」の基礎科目と、発展的な内容を中心とした「物理」「化学」「生物」「地学」の基礎を付さない科目との計8科目があります。
科目数が多い分、選択肢も豊富にあり、以下4つから選ぶことができます。
1.基礎から2科目を選択
2.基礎を付さない科目から1科目を選択
3.基礎から2科目・基礎を付さない科目から1科目を選択
4.基礎を付さない科目から2科目を選択
※基礎科目は必ず2科目を受験
基礎科目は2科目で100点、基礎を付さない科目は1科目100点、2科目で200点と配分されています。志望大学によって、科目の指定があることが多いので、必ず募集要項を確認するようにしましょう。
外国語
「外国語」には、「英語」「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「韓国語」の5科目があり、このうち1科目を選択します。「外国語」の試験の時間配分と配点は次のようになっています。
・英語以外の各科目の筆記80分、200点
・「英語」のリーディング80分、100点
・「英語」のリスニング60分(うち解答時間30分)、100点
国公立大学と私立大学に必要な科目&科目例をチェック
国公立大学の受験科目
国公立大学では、大学入学共通テストで志望大学・志望学部が指定する教科・科目を受験しなければなりません。
また、2次試験では、文系学部は「国語」「地理歴史」「公民」「外国語」「数学」から2~3科目、理系学部では「数学」「理科」「外国語」から2~3科目を選択するケースが多く見られます。
例えば文系学部志望の場合、大学入学共通テストでは「外国語」「数学IA」「数学ⅡB」「国語」「日本史B」「政治・経済」「生物基礎」「地学基礎」の6教科8科目を選択するなどの方法があります。なるべく高得点を目指せる科目を取り入れるとよいでしょう。2次試験では志望学部が指定する科目の中で、得意な科目を選択すると高得点を狙いやすいです。
ただし、大学によっては教科数を増やしたり、前期・後期で2次試験の出題科目数が変動したりすることもあります。
また、大学入学共通テストと2次試験の配点比率にも各大学で差があるため、志望大学ごとの2次試験に必要な科目や入試(もしくは募集)要項をチェックしておきましょう。
私立大学の受験科目
私立大学の受験科目は、大学によってさまざまなので、全大学共通して必ずしも受けなければいけない科目はありません。しかし、個別学力テストを実施している私立大学では、「3教科型」が基本です。
ただし、私立大学では入試で取り扱う教科数が少ないケースもあります。文系学部志望か理系学部志望かによっても受験科目は異なります。志望する大学・学部の受験科目は早めに確認するようにしましょう。
自分に合った受験科目がわからない!正しい受験科目の選び方
大学受験に必要な科目をご紹介してきましたが、さまざまな科目の中から1つずつ選択するのは受験者自身となります。受験者は何を基準に科目を選べばよいのでしょうか?
ここでは合格するための受験科目の選び方を解説します。
大学が定める試験科目を確認する
できるだけ早い段階で、志望大学が定めている試験科目を確認しましょう。
高校入学後すぐでも問題ありません。大学で学びたいことがはっきりしていない場合は、「憧れの大学」「家のそばの大学」「やってみたい仕事につけそうな学問」など、小さな「好き」をみつけてみるのもよいでしょう。
各大学のホームページや、大学紹介サイトなどを見て、少しずつ研究するのも1つの方法です。
早めに受験科目を確認しておかないと、「ずっと志望大学では選べない科目を勉強していた」ということになりかねません。効率良く受験勉強をするためにも、早めに志望大学や気になる大学の入試要項をチェックしましょう。
学校で勉強している科目を選ぶ
受験科目は、なるべく学校で勉強している科目を選ぶと効率的に学習できます。学校で習っていない科目を選択すると、自分で基礎から勉強しなければなりません。
学校で習っている科目であれば、基礎ができた状態から受験勉強をスタートできるので、効率のよい勉強につながります。
特に日本史と世界史は、理解する難易度は高くありませんが暗記量が多いので、学習に時間がかかりやすい科目です。限られた受験期間で合格を目指すのであれば、学校の授業をうまく活用できる科目を選択しましょう。
好きな科目から候補を挙げる
ある程度の選択肢の中で、自由に選ぶことができるからこそ、自分の好きな科目から候補を挙げていくことも大切です。
志望大学を決めてから入試当日までは、長い時間をかけて勉強に取り組んでいかなければいけません。好きな科目の勉強ならモチベーションを高く維持することができ、勉強の成果も実感しやすいでしょう。
英語や国語、数学は必須科目であることが多いですが、社会や理科は選択の場合もあります。合格点を狙うためには、できるかぎり好きな科目や得意な科目を率先して選ぶようにしましょう。
学力に不安のある人は時短で理解しやすい科目を選ぶ
受験勉強を始めるタイミングが遅れた人は、短時間で理解しやすい科目を優先的に選ぶのもよいでしょう。
例えば理科であれば、暗記が得意な人なら生物や地学、理解するのが得意な人なら物理や化学、を選ぶのも1つの方法です。
また、社会科においては、現代社会や地理は世界史や日本史の半分くらいの勉強時間で高得点を取れることもあります。
ただし、志望大学によって利用できない科目もあるので大学の受験科目を早めに調べることがやはり大切です。
そのうえで、学力に不安のある人は、自分が点数を取りやすい科目を探してみましょう。
科目を選ぶ時期
最終的な受験科目の決定は入試の出願時に行います。しかし、高校によっては1年生から文系と理系を分けてクラスを組むところもあります。高校2年生に上がるぐらいのタイミングで受験科目が絞られていると受験勉強の計画を立てやすいでしょう。
より早くに受験科目に絞って勉強に取り組めた方が効率的に勉強を進められます。特に推薦入試を考えている人などは高校3年生の夏休みから受験が始まることもあるため、遅くとも高校3年生の春には決めておくことが大切です。
科目選択の注意点
科目選択にはいくつかの注意点があるので紹介します。
1つは社会のA科目に注意するという点です。例えば、世界史には「世界史A」と「世界史B」の2つがあります。「世界史A」は「世界史B」よりも範囲が少ないため、一見「世界史A」を選んだ方が有利に思えるかもしれません。しかし、大学によっては「世界史A」をはじめ「日本史A」や「地理A」では受験できない場合があります。また、A科目をとった場合、「世界史B」などのB科目は選択することができません。自分の受験校に合わせて選択しましょう。
もう1つは平均点が低い科目が不利になるとは一概には言えない点です。例えば、2023年度の共通テストでは「生物」が難化しました。その結果、他の理科科目との点数差が問題となったため得点調整が入り、「生物」において受験生が取った点数によって加点がありました。このように著しく他の教科と点数の差が出ると得点調整が入り、得点が上がることがあります。前年に難化したからといってその科目の選択を回避するのではなく、志望する大学や自分に合った教科を選択しましょう。
受験勉強する科目を絞るメリットとデメリット
大学を受験する際に、あらかじめ受験科目を絞って勉強を進めるという手段を取る人をよく見かけますが、受験科目を絞ることにはメリットとデメリットの両方があります。
受験科目を絞ると1科目あたりに費やせる時間が増える
受験勉強する科目を絞る最大のメリットは、1科目あたりに費やせる時間が増えることです。
例えば国公立大学を受験するためには大学入学共通テストでは7科目以上の科目選択が必要です。国公立大学に加えて私立大学を併願する場合は併願校の科目も勉強しなければいけません。
受験できる大学の選択肢が減ってしまうので注意
メリットである「科目を絞る」ということは、それだけ自分が受験できる大学の選択肢も減らしてしまうデメリットにもなるため注意が必要です。
例えば科目を「外国語」「国語」「地理・歴史」の3つに絞り、受験勉強を進めるとします。しかし、実際に候補となる大学の入試要項を調べてみると、自分が勉強していた範囲が受験科目の対象外である場合もあります。
受験科目を絞る前に、まずは志望大学の受験科目を確認し、自分が集中的に勉強したい科目が該当しているかどうか調べましょう。
まとめ
大学受験では、早めに志望大学・志望学部の出題傾向に沿って学習することが大切です。いくつかある受験科目のうち、自分が得意な科目や好きな科目を選択し、「ライバルに勝てる」知識を備えていくと、合格につながります。
しかし、高校生活は部活や他に興味があることに専念したい楽しい時期です。なかなか先のことまで考えられず受験勉強が進まないと悩んでいる人もいるでしょう。
進みたい大学・学部や自分の得意分野が見出せないという人もいるかもしれません。
そういう場合は、勉強のプロに力を借りてみましょう。塾では、各個人に合わせた受験対策を受けることができ、効率良く受験勉強を進めることができます。また、進みたい大学や自分の得意分野を見出している人も、塾に通うことで目標に向けてさらに効率的な受験対策を行ってくれます。
大学受験を考えていて効率良く学習したい人は、塾で学ぶことを検討してみてはいかがでしょうか。
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