2018.06.29 2023.09.13
評価の点数や○(まる)の数だけじゃない 通知表をフル活用して子どものやる気を伸ばそう

学期末に子どもが持ち帰ってくる通知表。教科の成績や日常生活の記録などがまとめて記載されていますが、○の数や評価の数字を確認するだけで終わってはいませんか。通知表は子どもの力を伸ばすためには欠かせないツールです。対応次第で子どものやる気は大きくアップします。親子でチェックしたい箇所はもちろん、子どもをやる気にさせる活用法をご紹介しましょう。
通知表は保護者とのコミュニケーションツール
テストだけでなく学習に取り組む姿勢も評価
一通知表には、主に次の4つの観点から評価された内容が反映されます。1つは「関心・意欲・態度」。提出物や授業態度などが評価対象です。2つめは「思考・判断・表現」(調べ学習や理由を問う問題など)、3つめは「技能」(小テスト、定期テスト、実験や班学習、実技テストなど)、そして4つめが「知識・理解」(小テスト、定期テストなど)です。教科や学年によっても異なりますが、テストの成績だけでなく、授業・課題への積極的な取り組みが評価されると考えていいでしょう。
次に、小学校、中学校、高校それぞれの通知表の特徴と、評価のポイントをみてみましょう。

小学校では、数値の評価ではなく学びへの意欲、関心、態度などを項目別に細かく評価。「もう少し」など前向きな表現で評価されています。これは教員が子どもをよく観察し、子どもが「頑張ろう」と思える通知表を目指しているため。◎の数だけに一喜一憂するのではなく、○や△についても確認し、△の項目を次の目標とするような取り組み方を心がけましょう。頑張りや努力はきちんと見てもらえ、次の評価につながるはずです。

中学校からは教科ごとに別々の先生が評価を出すため、客観性が高まります。基本的には数値での学習評価と観点別評価を併記した形で記載されており、評価の基準は「テスト・出席・提出物」。小学校同様「学習への意欲と関心・態度」も重視されます。

小・中学校の通知表の変化に比べ、高校の通知表は昔と大きく変わらない数値のみの成績表です。主に定期テストの点数と提出物で評価され、先生の所見も短くシンプル。「なぜその成績になったのか」を自己分析し、改善点を見極める必要があります。
通知表は結果を知らせるものから子どものやる気を引き出すものへ。特に小中学校では、授業中の学ぼうとする意欲が高く評価されます。
評価がよい、アップした点は褒め、評価が低い点は次の目標に。先生の「意図」を共有し、ともに子どもの成長を応援しましょう
否定的な言葉は厳禁。「きっと伸びるから頑張ろう」と信じ励ましを。

「もう少し」は「まだまだ変わっていけるところ」通知表を次の目標への材料に
通知表を受け取ったら、ぜひ親子で話し合いましょう。その際気をつけていただきたいのは、否定的な言葉を用いないこと。たとえ関心がないように見えても、評価が低いことに一番ショックを受けているのは子ども自身です。そこに「よくないね」「もっとできなかったの」など追い打ちをかけると、子どもの自己否定感を強め、やる気を奪ってしまいます。また、努力がすぐには評価に結びつかないこともありますが、そういった時に子どもを叱ってしまうと「自分はやってもダメなんだ」と思い込み、無気力になりかねません。まず確認したいのは、評価がよい、アップした観点。そこは子どもが頑張ったところでもありますから、よいところ、伸びたところを指し、具体的な言葉でその努力を認めてあげてください。子どもに自信と意欲が出てきます。
一方「もう少し」や評価が低い点は、まだまだ変わっていけるところ、成長の伸びしろととらえること。どうして評価が低いのか、どうやってよくしていこうかを一緒に考えましょう。その際にヒントになるのが、担任の先生の所見です。所見欄には子どもの頑張りや努力について、また教科の観点評価だけでは伝えきれない「もっとよくなるためのポイント」が記されています。所見から先生の意図を読み取り共有することで、有意義なアドバイスにつなげてください。
具体的な改善方法をいくつか挙げておきましょう。まず「関心・意欲・態度」の評価をアップするには、忘れ物をなくす、課題をきちんと提出するなど取り組みやすいところから改善を。どうすれば実現可能かを親子で考えてみましょう。「思考・判断・表現」では、実験や班学習への参加姿勢について話し合い、改善してみては。積極的な取り組みが評価アップにつながります。「知識・理解」では、板書をきちんと写した上で、先生が口で補足した内容を付け足したノートを作ると効果的です。授業態度も自然に変わってくるはずです。
通知表は子どもが変わろうとするための道具でもあります。「きっと伸びるから頑張ろう」と励まし、勇気づけるのが保護者の役目。どんなときも子どもを信じ応援してあげましょう。
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明光2020教育改革室
岡田直将
通知表についてアドバイスするときは、子どもの気持ちを踏まえて
小学生のお子さまは、本文のように「先生は何を評価しているのか」「これからどういう点がもっと良くできるのか」を親が伝えてあげると、今後の成長のためにとても良いと思います。しかし、中・高生のお子さまは「宿題や提出物は期日を守る」「忘れ物はしない」、こういったことは当然理解しています。親が理由や状況を聞かずに感情的に対応してしまうと、子どもは「そんなのわかっているよ!」という話で終わってしまいます。まずは子どもの話を聞き、それに対して具体的なアドバイスをしたり、解決策を一緒に考えてあげるのが改善のための第一歩になります。どうしても改善ができず、保護者としても悩ましい時には、明光義塾にご相談ください。
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