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2022.05.02      2023.10.08

学校でのSDGs教育とは?受験生にSDGsって関係あるの?

学校でのSDGs教育とは?受験生にSDGsって関係あるの?

近年、「SDGs」や「持続可能性」という言葉を耳にする機会が増えましたが、実は教育現場にも、SDGsが取り入れられることが増えています。本記事では、SDGsが具体的に何を指しており、学校ではどのような教育が目指されているのか、そして受験とどう関係してくるのかを解説します。

学校教育の現場でもよく耳にするSDGsとは?

SDGsという言葉を耳にする機会が増えていますが、そもそもSDGsとはどのようなことなのでしょうか。まずは、SDGsそのものの意味について解説します。

SDGsって何?

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」のことを指します。

SDGsは2015年、国連サミットにて採択されました。経済、環境、社会の3つの観点で、2030年12月31日までに達成すべき17個のゴール、169のターゲットが設定されています。

SDGsは人類や地球上の生物が将来にわたって存続するために必要な内容を項目化したものであり、法的な拘束力はないものの、環境問題や資源問題の深刻化を防ぐために各国が積極的に取り組んでいる目標です。

また、企業においてもSDGsへの貢献が問われているため、地球上で生活する私たち一人ひとりにとってもより身近な存在となっていくと考えられます。

単なる「持続可能性」との違い

SDGsにおいて重要なのは、単なる「持続可能性」についての議論で終わるのではなく、達成するための目標が具体的に記載されている点です。現状維持ではなく、よりよい世界に変えていくという意思が込められており、各国の達成状況や課題が一目で分かるようになっています。

また、目標として定められている内容にも工夫が凝らされており、先進国・新興国が等しく取り組める内容が採用されているのも特徴です。

SDGsの前身である新興国開発の目標「MDGs」よりも広い観点となっており、SDGsを達成していくことで、新興国や貧困層なども含め「誰一人取り残さず」持続可能な世界にしていくという人類の目標が達成できるようになっています。

なぜいまSDGs教育なのか

このように、SDGsはこれからの社会において重要な役割を果たす存在ですが、なぜSDGsは教育にも用いられているのでしょうか。そのきっかけについて見ていきましょう。

全世界の潮流となったSDGs

環境問題と資源問題の影響が世界的に目に見えるようになったことで、SDGsは世界中で潮流となりつつあります。

実際に、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にもSDGsが記載されており、急速に発展している中国やインドなども巻き込んだ活動が行われているのが、他の国際目標との大きな違いです。

このように、SDGsが世界中で大きな役割を果たすと考えられることから、学生のうちからSDGsを理解することに大きな意義があるといえます。

人類の未来を次世代に託す

SDGsに記載されている目標は2030年までの達成が求められていますが、内容自体はこれからの世界のあり方そのものであり、世代をまたいだ長期的な取り組みになることは間違いありません。

そして、世界を持続可能でよりよい場所に変えていく担い手は、現在の子どもたちです。

ESD(持続可能な開発のための教育)を将来の世代に行っていくことがSDGsの重要な一環とみなされていることもあり、政府・民間ともに教育に力を入れています。

学習指導要領に明記されたSDGs

日本では、文部科学省が「持続可能な開発のための2030アジェンダ」をもとに、学習指導要領への「持続可能な社会の創り手」の育成について、下記のように盛り込みました。

「豊かな心を持ち、伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛し、個性豊かな文化の創造を図るとともに、公共の精神を尊び、民主的な社会及び国家の発展に努め、他国を尊重し、国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を開く主体性のある日本人を育成するため、その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。」
出典:文部科学省ホームページ

2019年にはユネスコで「持続可能な開発のための教育」(ESD for 2030)も採択し、教育の大目標として、学校教育への反映も進んでいます。

学校でのSDGs教育

それでは、実際に学校でどのようなSDGs教育が行われているのでしょうか。
授業や校内行事で行われている事例を紹介します。

SDGs教育の理念

まず、SDGs教育の理念としては「6つの視点」と「7つの能力・態度」が定義されています。

「6つの視点」
  1. 1. 多様性(いろいろある)
  2. 2. 相互性(関わりあっている)
  3. 3. 有限性(限りがある)
  4. 4. 公平性(一人一人大切に)
  5. 5. 連携性(力合わせて)
  6. 6. 責任制(責任を持って)
「7つの能力・態度」
  1. 1. 批判的に考える力
  2. 2. 未来像を予測して計画を立てる力
  3. 3. 多面的・総合的に考える力
  4. 4. コミュニケーションを行う力
  5. 5. 他者と協力する力
  6. 6. つながりを尊重する態度
  7. 7. 進んで参加する態度

これらの理念では、持続可能な社会作りに関わる課題を見出し解決するための能力や、態度そのものを規定しています。これらの理念を学校全体で組織的に実現することが求められており、各校で工夫を凝らしたSDGs教育が行われ始めています。

科目を横断してのSDGs教育

代表的なSDGs教育の例として、江東区立八名川小学校が行った教育事例を紹介します。

江東区立八名川小学校では、従来の教科分離型教育ではなく、全科目のカリキュラムにSDGsを軸に組んだ教科横断型教育を行いました。総合的学習でSDGsのことを学びながら、総合や図工、特別活動の時間にSDGsを意識した活動を行うことで、自分で考え、主体的に活動する能力を育んでいます。

1~2月に行われる「八名川まつり」に児童たちが参加して、SDGsに関する取り組みを振り返り、プレゼンテーションを行うといったアウトプットの場があるのも特徴です。SDGs教育であると同時に、科目で学んだことを総合的に活用する能力を高める教育として注目を集めています。

学校行事への組み込み

文化祭をはじめとした学校行事での活動においても、SDGsをテーマとして組み込むことが行われています。

たとえば、成蹊中学・高等学校の文化祭の事例としてでは、有志団体がアザニア・セカンダリー・スクールの生徒たちとビデオ通話を行い、絵での交流を行う「アートマイルプロジェクト」や、校内に呼び掛けて集められた文房具を贈る「鉛筆贈ろうプロジェクト」を実施するなど、実践的な企画が行われました。

このような国際交流は、地域社会・企業・国際機関など、社会や世界とリアルにつながるまたとない機会ともなり、生徒の経験・成長にもつながっています。

受験とSDGsとの関わり

受験とSDGsとの関わり

学校でのSDGs教育が進むにつれて、入試にSDGsを取り入れる学校も増えてきているほか、進路選択にもSDGsが関連しつつあり、受験においてもSDGsを意識することは重要です。ここでは受験においてSDGsがどのように登場するかを解説します。

入試に頻出するSDGs

まず、近年は中学受験から大学入試まで、SDGsが頻出の出題テーマとなっています。社会科はもちろん、数学(算数)・理科・英語・国語でもSDGsにまつわる問題が出されており、読み取り問題や記述問題でのテーマとして使われやすい傾向があります。

SDGsの意味や役割などを問われる知識問題はもちろん、「プラスチックごみで海洋が汚染されると、人間の生活にどのような影響があるか」といった、社会問題や環境問題をSDGsでどう解決できるか、考えを問われることも多いです。

社会問題に対する意識や常識が求められるため、受験対策というよりも、普段からSDGsについて考える習慣が問われているともいえます。

「なぜ学ぶのか」の答えになり得るSDGs

学校の勉強や受験勉強の中で「学校の勉強なんて役に立たない」と考えてしまうお子さまは多いものですが、SDGsはその答えになり得る重要な要素となりつつあります。

SDGsは社会と密接に関係し、学校での勉強がリアルな社会や世界とつながることを実感できる機会になり得ます。「これをなんのために学んでいるのか」の納得感が生まれるきっかけとなるでしょう。

お子さまに「未来のために勉強している」という意識が芽生えることで、勉強への主体性が増し、楽しく勉強に取り組めるようになるかもしれません。

SDGsは進路の大きなヒント

SDGsの実現は、中小企業を含めた企業全体にも求められている課題です。そのためこれからは企業が成果を出していく際に、SDGsを重要な要素と考える必要があります。

SDGsに関連する事業は「これから伸びる分野」「社会に役立てる分野」としてとらえることも可能です。進路や「夢」作りのきっかけとなり、悩めるお子さまが具体的な目標を持ち高いモチベーションで受験に臨むための助けとなるでしょう。

個別指導の明光義塾を全国展開する明光ネットワークジャパンでは、一人ひとりの生徒のため、実践的なSDGs教育も実施しています。

まとめ

学校におけるSDGs教育の内容と、受験との関連性についてお伝えしました。SDGsは全世界で存在感を増しており、政府や企業など、あらゆる組織がSDGsをテーマとした活動を行っています。

学校教育においても、よりよい地球環境を作っていく世代が正しい知識を持ち、行動していけるように、適切な教育が求められています。またこうした教育は受験においても無視できない重要なテーマです。

SDGsはこれからの社会に欠かせないものであり、勉強とリアルな社会をつなぐ存在にもなり得ます。お子さまがしっかり理解できるよう、保護者がサポートすることも重要です。本記事を参考に、親子でSDGsについて考える機会を持ってみてはいかがでしょうか。

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