2018.07.18 2023.10.09
小学校の通知表の見方と活かし方とは? 評価項目を正しく読み解く!
小学校の通知表は評価項目がさまざまで、どう見たらよいのか戸惑われる方も多いでしょう。通知表にはお子さまの成長を促すヒントが詰まっているため、評価だけを見て叱るのではなく、内容を正しく読み取ってお子さまの頑張りを認めることが大切です。
この記事では通知表の評価項目の正しい見方を解説し、お子さまの学習のモチベーションがアップする通知表の具体的な活かし方についてもご紹介します。
小学校の通知表で評価される項目と見方
2020年度に教育課程の基準である学習指導要領が改訂されたことに伴い、小学校の通知表は評価の観点が4観点から3観点に変更となりました。現在は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点で評価されています。
それぞれの観点についてどのようなポイントが重視されているのか、改訂前との変更点もふまえてご紹介します。
学力に直結する「知識・技能」
「知識・技能」では、各教科で必要となる知識やスキルを十分に習得できているかが評価の対象となります。改定前には独立していた「技能」と「知識・理解」が1つになり、どの教科においても学習内容をしっかりと習得することが大切という考え方が強調されています。
「知識・技能」の評価は、テストの基礎問題にあたる内容がきちんと理解されているかどうかで決まります。テスト以外にもノートやワークシートの記述から理解度を測る場合もあります。さらに、一問一答式で答えられるかどうかだけでなく、他の教科の内容と結びつけて活用できているかといった応用的な知識も重視されます。
「知識・技能」を伸ばすためには、授業内容の明確な理解が必須といえるでしょう。授業をきちんと聞いたうえで、なぜこの答えが導き出されるのかまで深く理解する必要があります。
自己的に考える能力である「思考・判断・表現」
「思考力・表現力・判断力」では、課題や問題に向き合って解決する力、自らの思いを表現する力などが評価の対象となります。「知識・技能」で身につけた力を活かし、自分なりに考えて周囲に思いを伝える、また解決の糸口を探るなどといったより幅広い能力が評価されることになります。
評価方法はテストの応用問題への理解度だけでなく、発表やグループディスカッション、課題など、各教科の特性によって工夫されています。「思考力・表現力・判断力」を伸ばすためには、自分の考えを持ち、それをまとめて積極的に発言する習慣をつけることがポイントになります。
テスト以外が加味される「主体的に学習に取り組む態度」
「主体的に学習に取り組む態度」では、「知識・技能」を習得したり、「思考力・判断力・表現力」などを身に付けたりするために、自らの学習状況を把握し、学習の進め方について試行錯誤するなど、自らの学習を調整しながら学ぼうとしているかどうかが評価の対象となります。改訂前には「関心・意欲・態度」と表されていたこの観点は、4観点から3観点へと変わったことで、通知表の評価という視点からみてもより重視されることとなりました。
「主体的に学習に取り組む態度」を伸ばすためには、意欲を持って授業に参加する、課題や問題に向かって粘り強く取り組む、振り返りを積極的に行い、これからの学習に活かすなどの姿勢を見せることが大切です。
評価・評定以外の項目
通知表には、各教科の学習成績の観点別評価・評定以外にもさまざまな項目があります。表示基準は学校によって異なるものの、例として以下のようなものが挙げられます。
・学校生活全般の過ごし方が記載される「行動の記録」
・学校行事や委員会の活動にどのように関わったかが記載される「活動の記録」
・先生からの所見が自由記載される「総合所見」「出席日数」など
学習状況以外の欄にもきちんと目を通すことで、お子さまの学校生活の様子をより深く知ることができます。
小学校の通知表とはどういう書類?
そもそも小学校の通知表とはどのような書類なのかご存じでしょうか。通知表の原本といえる「指導要録」の内容と、評価基準について詳しく解説します。
実は規定がない「通知表」
実際のところ、通知表には国からの規定はありません。様式や内容の指定があるのは各学校長が作成する「指導要録」というもので、在学する児童生徒の学籍・指導の過程・結果などを記録するよう定められています。いわばお子さまの学習状況や健康状態がまとめて記載された書類といえるでしょう。
通知表は「学習状況を保護者に伝え、その後の学習に生かす」という目的の書類であり、法的な根拠はありません。仕様についても各学校の裁量に委ねられます。ただし、現実には指導要録の評価がそのまま反映されています。
「観点別評価」と「評定」
指導要録の評価には「観点別評価」と「評定」の2種類が存在し、通知表でいう成績にあたります。
観点別評価とは各教科に存在する3つの観点ごとの評価のことです。表示基準は各学校で異なりますが、以下のようなアルファベットで評価されます。
・「十分満足できる状況」:A
・「おおむね満足できる状況」:B
・「努力を要する状況」:C
評定とは、通知表に記載される各教科の5段階評価のことです。以下のような数字を用いて成績を表しています。
・「十分満足できるもののうち、とくに程度が高い状況」:5
・「十分満足できる状況」:4
・「おおむね満足できる状況」:3
・「努力を要する状況」:2
・「一層努力を要する状況」:1
評定は観点別評価をもとに決められます。
「達成できたか?」の絶対評価が原則
かつての学習評価は、クラスや学年内での位置を示す「相対評価」でした。しかし現在では、特定の目標に対してどのくらい達成できたかを評価する「絶対評価」を原則としています。
学校教育において、一人ひとりに合わせた指導を細やかに行うことが求められるようになった背景のもと、2002年頃から相対評価から絶対評価へ移行されました。集団内の優劣や順位によって評価が左右されることなく、お子さまが目標達成のみに集中できるようになったといえるでしょう。
しかし実際の教育現場では、各教科の特性によって「絶対評価を加味した相対評価」というあいまいな評価の仕方が残っています。
小学校の通知表をお子さまのためにどう生かす?
国が定めた指導要録に基づいて作成される通知表の重要性を理解したうえで、お子さまのために通知表を最大限に生かす方法をご紹介します。
まず保護者が正確な把握に努める
まずは保護者が通知表の内容を正確に把握することが先決です。評価方法については学校側から資料提供があるため、細部まで読み込んで理解しましょう。
通知表は数値化される「評定」に注目しがちですが、評定のみに囚われることなく、細部に目を向けてチェックしてください。例えば評定を上げるには観点別評価を確認し、お子さまのどの力を伸ばすべきなのか知る必要があるでしょう。
指導要録が求めているものを正しく把握することで、お子さまの現状を理解し、改善点が見えてきます。必要に応じて、先生や学校ともコミュニケーションを取り疑問点を解消することも大切です。
通知表の目的に沿い「成長を引き出す」ことを重視する
小学校の指導要録や通知表の目的は、決して序列づけではなく、お子さまの成長を引き出すことにあります。お子さまの成長のための情報が詰まったツールとして最大限活用しましょう。
そのためにはこれまでの評価をきちんと把握し、保護者がお子さまの成績の変化に気がつくことが重要です。通知表からお子さまの頑張りや苦手を読み取り、これからの成長を引き出すための材料としてください。
前向きな「目標」を見つける
お子さまと通知表を確認するときは、どのような結果でも前向きな目標が見つけられるような言葉かけを意識してください。
まずはできたことを褒めて、日頃の頑張りを認めてあげましょう。評価がよくなかったとしても叱るようなことはせず、先生からの所見や元気に学校に行けたことなど、些細なことでも褒めるようにします。お子さまを褒めることで、これからの学習や学校生活のモチベーションアップにつながるはずです。
よかったところを褒めたうえで、所見や評定などもヒントに観点別評価の改善点について改善方法を一緒に考えるようにします。「どうして下がったのか」をお子さま自身に考えさせ、これからどう行動するか、前向きな方法を示してあげましょう。
通知表・内申点の評価を上げる必要ってある?
通知表の本質的な狙いは学習内容の確実な理解・定着です。重要なことは通知表の成績そのものを目標にすることなく、お子さまの学習意欲と成長を引き出すことにあるといえます。内申点の評価も、お子さまの成長を引き出すために重視したい項目の1つです。
また中学校や中高一貫校によっては、内申点が重視される場合もあります。もし中学受験を考えているのであれば、志望校の方針を事前にリサーチすることも重要です。
個別指導の明光義塾では、通知表の見方も含めて、学習目標の達成から中学受験の最新情報まで、幅広くお手伝いできますので、お困りであればぜひご相談ください。
まとめ
通知表の評価項目の正しい見方と、お子さまのための通知表の活かし方についてご紹介しました。
通知表は国に定められた指導要録の記録に基づき、保護者の学習状況の通知のために作成されるものとわかりました。保護者が指導要録についての理解を深め、正しく通知表を読み取ることで今後のお子さまの成長にしっかりと生かすことができます。通知表の内容から成績アップの糸口を見つけたい、評価観点についてより詳しく知りたいという方は、個別指導の明光義塾にお気軽にお問い合わせください。
この記事を家族や友人に教える
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