2021.04.30
英語のリスニングの勉強法とは?得点につながる英語の聞き取り方

英語を書いたり読んだりするのは得意でも、リスニング問題には苦手意識があるという人は多いでしょう。しかし英語のリスニング問題は、高校・大学入試で必ず出題されており、重要性が高まる一方です。
近年改訂された新学習指導要領においても、英語4技能のうちの「聞く」「話す」が重視されるようになり、試験での配点が高くなることが予想されています。
ではリスニングで高得点を取るためには、どのように勉強すればよいのでしょうか。
この記事では、英語のリスニングの勉強法についてご紹介します。
英語のリスニングを勉強する重要性
まずは、英語のリスニングの重要性から確認していきましょう。
配点比率が高まる英語のリスニング
かつて入試英語はリーディングが中心でしたが、近年はリスニングの比率が高まっています。
例えば高校入試の英語におけるリスニング比率は、全国平均で26%(2020年度)です。また、大学入学共通テストでも、試験はリーディング100点、リスニング100点と、配点比率が50%になっていることがわかります。
新学習指導要領の実施により、2022年以降の高校の英語の授業では「オールイングリッシュ授業」を基本とすることが決まっています。また、大学受験の際もリスニングの得点は重要です。
リスニングは数回やっただけで伸びる技能ではないため、高校受験の先を考えると早いうちから英語のリスニングを勉強しておいたほうがよいでしょう。
勉強法を知らず苦手な生徒が多い
リスニングをどのように学習していくのかを知らないため、苦手意識を持つ生徒は少なくありません。リスニング対策をしなければ、苦手意識を持ったままになってしまうこともあります。
リスニングの正しい勉強法を知ることで、ほかの受験生に差をつけることができるため、合格に大きく近づくでしょう。
【英語のリスニングの勉強法】リーディングと文法から始めよう
リスニングの重要性がわかったところで、どのようにリスニングを勉強したらよいのか見ていきましょう。
ここからは、効果的なリスニングの勉強法を紹介します。
知らない言葉は聞き取れない
乳幼児は、大人たちの会話を聞くだけで言葉を覚えていきます。だからといって、中学生がひたすら知らない英語を聞き続けても、当然ながら短期間での上達は難しいでしょう。
単語の意味をイメージできなければ、どれだけ聞いても意味がわからず、聞き取れるようにはならないのです。英語を聞き取れるようになるためには、まずは聞き取りたい単語を知っている状態になっていなければなりません。
まずはリーディングでボキャブラリーと文法を固める
リスニングの勉強を効果的に進めるためには、聞いて単語の意味をイメージすることができる単語の数を増やす必要があります。
新学習指導要領では、小学校で600~700語、中学校で1,600~1,800語学習するとなっています。まずは、小中学校で学ぶ単語を、聞いて意味をイメージできるようにすることが非常に重要です。また、小中学校で学んだ英単語や文法は基礎であり、これらが身についていなければリスニングは難しいといえます。
音声と同じスピードで読む練習をする
リスニング学習では、問題を解いて音声スピードに慣れるということも重要ですが、それ以上に、音声と同じスピードで読み上げることが重要です。その練習を繰り返すことで、自然と聞き取れるようになっていくでしょう。
リスニングの音声が速くてまったく聞き取れないという人は、実は自分がその速度で英語を話せていないのです。聞くためには読むことが大切なので、音声と同じスピードで読む練習から始めましょう。
【英語のリスニングの勉強法】発音の基礎をしっかりと押さえよう
リスニング力をつけるために大切なのは、正しい発音を知ることです。
英単語のスペルを一生懸命覚えて書けるようになっても、それを「音」として知っていなければ、その単語を耳で聞き取って理解することはできません。
ここからは、発音の基礎について解説します。
日本語にない音を習得する
日本語の母音は「アイウエオ」の5つですが、英語の母音は24個もあります。それだけでなく、英語には日本語にはない「二重母音」「無母音声」もあります。
これらの発音の違いを理解するには、放送文を見ながら流れてくる音声を聞き、どのように聞こえてくるかを知ることが重要です。そのうえで、自分でも発音ができるように音読して覚えましょう。
フォニックスを理解する
フォニックスとは、アルファベットの発音ルールをまとめたもので、正しく発音することや単語のつづりを正しく書けるようになるために行う学習法のことです。
英語では、アルファベット単体で「エィ、ビー、シー」といった発音をしますが、単語にすると発音が大きく変わります。そのため、アルファベットの読み方を覚えても単語の発音を覚えるのは難しいといえるでしょう。
一方、フォニックスでは「ェア、ブ、ク」といったように、単語内におけるアルファベットの発音を覚えられます。フォニックスを覚えると、英単語を簡単に読めるようになるでしょう。
フォニックスは、英語圏でも勉強法として用いられているため、ローマ字風でなく、英語風の発音を自然と覚えられます。フォニックスを覚えておけばリスニングにも対処しやすくなるため、覚えておくとよいでしょう。
綴りと発音の関係を理解する
英語とローマ字は同じアルファベットを使用しているため、「ローマ字読み」をしてしまう人が少なくありません。しかし、これでは英語を正しく発音することはできません。
ローマ字読みとは違う、英語の綴りと発音の関係を理解しておく必要があります。
語彙を正しい発音で覚える
新しい英単語を覚えるときには、綴りだけを覚えるのではなく、発音もセットで覚えるのがおすすめです。そうすることで、「英単語を書くことができ、意味もわかるけど、発音できない、聞き取れない」ということがなくなります。
フレーズの音の変化を把握する
英語は、実際の音声では発音が融合して変化(リエゾン)するという特徴があります。一つひとつの単語はわかっていても、融合して音が変化すると途端に聞き取れない、ということが起こります。フレーズごとに、どのように変化するのかを押さえるようにしましょう。
【英語のリスニングの勉強法】英語の音声に慣れていこう
英単語や文法を覚えて発音を理解したら、「英語の音声に慣れるための勉強」に進みましょう。
テキストを音読する
英語のテキストを声に出して正確に読み、発音がわからないところをなくしていきます。
実際に英語のテキストを読んでみると、英単語としては読めていたものが読みにくかったり、詰まってしまったりすることもあるでしょう。
英語そのものに慣れるためにも、音読は必須といえます。
知っている文章を使い、シャドーイングする
すでに読んだことがあって内容がイメージできている英文を使い、流れてくる英文に1,2語遅れて発音(シャドーイング)することで、音として理解できるようにしましょう。
シャドーイングは、リスニングに効果がある勉強法です。聞き取ったら、すぐに復唱するのがおすすめです。一時停止をせずに英語を聞きながら発音していくため、聞き取れない音が多い人にとっては難しく感じるかもしれませんが、その分効果があります。
最初は難しいと思いますが、繰り返し練習していくことで、少しずつ音声のスピードについていくことができます。
自分のレベルに合った初見問題にチャレンジする
基礎がある程度固まったら、初見問題に取り組んでみましょう。初めて聞く英文は、内容を推察しながら聞くことになるため、難易度は高いです。
知らない英単語が出てくることもありますが、前後の流れや文法から補完するとよいでしょう。わからない英単語や文法が多すぎる場合は効率が悪くなるので、再度基礎固めに戻ることをおすすめします。
聞き取った英語を書き出す
初めて見る問題をある程度理解できるようになってきたら、聞き取った英語を書き出してみましょう。
英語を聞き流す場合と異なり、書き出しを行うには集中力が必要なため、学習効率が上がります。
また、書き出しを行うと自分が聞き取れていない箇所が明確になるので、現状把握と改善のスピードも向上します。書き出すこと自体にリスニング力を鍛える効果はありませんが、自分のリスニング力を測り弱点を見つけるには有効なので、定期的に行うとよいでしょう。
英語の書き出しは「ディクテーション」とも呼ばれており、ネイティブも行う勉強法なのでおすすめです。
聞き取れなかった箇所を繰り返し聞く
ディクテーションを通して自分の聞き取れない部分がわかったら、自分が理解できるようになるまで繰り返し聞くようにしましょう。
一語ずつ丁寧に聞くことを「精聴」といい、精聴を行うことで聞き取れなかった箇所や、わからなかった文法を調べて理解を深めていきます。
勉強の質を優先にする方法であるため、触れられる英語の量は少なめになるでしょう。しかし、一語ずつわからない箇所を解決できるため、着実にリスニング力は向上していきます。
英語のニュースサイトを利用する
ここまでの方法でリスニング力が身についた後は、英語のニュースサイトを利用してリスニングを行うのも効果的です。
ニュースサイトは、さまざまなサービスで音源が見つかりやすく、ドラマや映画よりもクリアな発音になっています。スラング(日常会話で用いられる省略語)が使われることもないため、英語のリスニングの勉強にはぴったりです。
またニュースであれば、使わなくなった英語ではなく現地でも使われる英語を学べることや、世界の情勢など一般教養を学べるメリットもあります。
特に字幕がついているニュースサイトを選ぶことで、正しく理解できているのか、すぐにわかるため効率がよいでしょう。
英語のリスニングの勉強としては不向きな方法
リスニングの勉強法はたくさんありますが、なかにはリスニングのレベルアップに不向きな勉強法もあります。
ここでは、リスニングの勉強として不向きな代表的な勉強法の具体例を3つお伝えします。英語に親しむことを目的とするのであれば、よい方法といえますが「これを行うだけでリスニングの勉強になる」とは考えないようにしましょう。
ドラマや映画を使う
まず一つ目は、英語のドラマや映画を教材として使うことです。ドラマや映画は興味を持ちやすい題材であり、モチベーションを上げやすいことから勉強法として用いる人も多いでしょう。実際にネイティブの自然な発音を聞けるという意味ではよい教材といえます。
しかし、ネイティブの発音はスピードが早く、発音の省略がされることもあるため、正確に読み取るのは難易度が高いです。
スラングも多く、映像内で出てくる単語に偏りがあることや視覚から得る情報で内容のイメージができることから、真剣に英語を聴こうという意識も薄れます。そのため、受験勉強に直結するとは言い難い勉強法です。
聞き流しを行っている
リスニングの勉強法として、英語の聞き流しを行うことも効果が薄くなります。
英語を聴くことに慣れるのは重要ですが、単語の意味や文法、それぞれの発音を理解していなければ、身につかないため意味がありません。
また、普段から聞き流しを行っていると、漫然とリスニングを行う習慣がついてしまうので、一言一句を聞き逃せない試験において不利に働いてしまう可能性があります。
聞き流しは、単語の学習やスペルの発音をしっかり勉強してから行い、さらにわからない箇所をしっかり聴き直して理解する精聴を必ず行いましょう。
視覚情報がある教材を使っている
視覚情報がある教材も、状況によってはリスニング力の向上を妨げる場合があります。
人間は、受け取る情報のうち8割を視覚から得ていることから視覚情報を最も重視する傾向があります。そのため、視覚情報があると「見る」ことに集中してしまい、聴覚であるリスニングに集中しづらくなるのです。
さらに、視覚情報のある教材だけで英語を理解しようとすると、無意識で視覚情報に頼る癖がついてしまうといったデメリットもあります。
リスニングの結果を確かめることを目的とするのであればよいですが、それ以外では不用意に使わないことをおすすめします。
英語のリスニングを実践する際のコツ

リスニングの基礎を固めたうえで知っておきたいのが、実際に英語のリスニング問題を解くときのコツです。
ちょっとしたポイントを押さえるだけで、リスニングの得点を上げることができます。
資料や設問は事前に読んでおく
初見のリスニング問題は、難しいと感じるかもしれません。しかし、事前に前提となるポイントを押さえておけば、聞き取る際のヒントになるでしょう。
リスニングの質問文や選択肢が英文で書かれている場合は、それを読むだけで何について聞かれているのか想像することができます。リスニングが始まってから読むと集中できないため、リスニングが始まる前に読んでおき、大まかな内容を予想したうえでリスニングに挑みましょう。
わからなくても立ち止まらない
リスニングをしていると、たった1つの英単語がわからなくて立ち止まってしまうことがあります。しかしリスニングで大切なのは、わからないところがあっても考え込まず、音声を追い続けることです。
1つの英単語や英文がわからないために立ち止まってしまい、その後の英文を聞き逃してしまっては、取れるはずの得点を失いかねません。 多少わからなくても聞き続けることは、リスニングの鉄則といえるでしょう。
日本語で考えない
英語と日本語は語順が異なるため、日本語に変換しながら聞いていると追いつけなくなります。リスニングでは、聞き取った英語を英語のまま理解するようにしましょう。
聞き取った文章を日本語の文章に変換するのではなく、頭のなかに場面や登場人物などのイメージを描けるようになると、英語を英語のまま理解できます。
すぐに英語を英語のまま理解するのは難しいため、英文の意味を理解しているリスニング問題を使い、流れてくる英文に1,2語遅れて真似して発音(シャドーイング)することを繰り返し練習しましょう。
リスニングの練習に使える教材の選び方
ここまでリスニングの勉強法についてお伝えしましたが、効率よく勉強するには教材選びも重要です。そこで、リスニング教材を選ぶ際に重視したいポイントをお伝えします。
自分のレベルに合った教材を選ぶ必要がある
教材選びで最も大事なのは、自分のレベルに合った教材を選ぶことです。
自分のレベルよりも高いレベルの教材を選びがちですが、本来、語学は時間をかけて少しずつ身につけていくものです。そのため、いきなり難易度の高い内容に挑戦すると、基礎の理解が不十分なままとなってしまい、かえって理解に時間がかかってしまう可能性があります。
理解が進まないと、自信を失いモチベーションの低下にもつながるのでレベルの高い教材を選ぶのではなく、8割ほど理解している教材やワンランク下の教材を選ぶことをおすすめします。
字幕がついている教材を選ぶ
リスニングの教材を選ぶ際には、字幕(スクリプト)がついたものを選ぶようにしましょう。字幕がないとわからない単語があったときにすぐ復習できず、学習に時間がかかってしまいます。
ただし、字幕といっても映画のように視覚情報として表示されるものより、テキストなどで確認できるものが最適です。単語の意味だけでなく文章の構造や注意点などを記載した参考書があるとなおよいでしょう。
英検®の問題集でレベルを確認
自分のレベルがわからない場合は、英検®用の問題集を使うのがおすすめです。
2級であれば一般的な大学受験に必要なレベルと同程度だといわれているように、英検®はどの程度の点数が取れるかによって、自分のレベルを大まかにチェックできます。
また、英検の出題内容は受験勉強との類似点が多いため、英検の問題を解くことが受験勉強にもつながります。英検を取得していると受験で優遇してくれる高校や大学もあるので、余裕があれば英検を受験してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ライティングやリーディングは得意でもリスニングが苦手な人は、正しい勉強法を理解できていない可能性があります。
正しい勉強法を知って実践すれば、リスニングの得点を上げるのはさほど難しくありません。リスニングが苦手な人が多いということは、リスニングが得意になれば周りの受験生と差をつけられます。
リスニングの勉強は、始めから英語の音声を聞くのではなく、まず基本的知識として英単語と文法の勉強が必要になります。その際、英単語は発音も一緒に確認すると効率的です。
基礎が身についたら英文を音読し、その英文の音声を聞いてシャドーイングをします。そうすることで英語の音声に慣れていくため、聞き取りやすくなるはずです。
また、実際のテストでリスニングをするときのコツも押さえておきましょう。
音声が流れる前に問題文をよく読んでおき、リスニングが始まれば聞き取ることに集中しましょう。聞き取った英語は、英語のまま理解しようとすることが大切です。
ある程度実力がついてきたら、スマホのアプリで聞けるリスニング教材に挑戦してレベルアップを図るとよいでしょう。
正しい勉強法を実践して、ぜひリスニングの得点を上げてください。
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