2015.03.02 2023.10.10
自分らしさを仕事にする!明光ワクワクワーク♪:Vol.6 養豚業 宮治勇輔さん
明光ワクワクワーク
自分の好きなことを発見し、それを仕事にしている人って魅力的ですよね。自分らしさを仕事につなげる秘訣をぜひ知りたいという保護者の声も多いはず。そこで、子どもたちが憧れるあの仕事をしている「しごと人」にインタビューします。
ぼんやりと将来のことを考え始めたお子さんと、それをサポートする保護者が知りたい仕事のお話をお届けするコーナーです。
今回インタビューしたのは、株式会社みやじ豚の代表取締役社長・宮治勇輔(みやじゆうすけ)さん。宮治さんが湘南で生産する「みやじ豚」は、全国の食通をうならせるブランド豚で、多くのメディアで取り上げられています。
多くの人々に評価される宮治さんの養豚という仕事。一次産業を「かっこよくて、感動があって、稼げる」3K産業にしたいという夢と努力についてお聞きしました。
お仕事について
編集担当
宮治さん、よろしくお願いします。宮治さんの生産する「みやじ豚」はすごい人気だそうですね!
宮治さん
そうですね。以前の流通ルートでは、どこの農家が生産した豚も「豚肉」として一緒に扱われていました。その流通ルートを少し変えて、生産者の名前がついた「みやじ豚」としてブランド化することに成功したんです。
編集担当
お父さんから養豚業を受け継いでから、そのようなブランド化を行ったのですね。
宮治さん
そうです。例えば、僕は「みやじ豚」のブランド化のためにバーベキューをひと月に1、2回開催しています。
編集担当
バーベキューですか? どうしてでしょう。
宮治さん
宮治家で育てた豚を、私たち自身がバーベキューでお客さんに提供しています。バーベキューを実施することで、生産者の顔が見える距離感でお客さんに「みやじ豚」の美味しさを知ってもらうことができます。人から人へ、本当に美味しいものを伝えていくことができるようになったんです。
みやじ豚バーベキューの様子
編集担当
なるほど。それが「ブランド」なんですね!
宮治さん
「ブランド化」の原点は大学生の時です。友達を呼んで僕の実家でバーベキューをしたんです。そうしたら本当に美味しいと喜んでくれました。ところが友達の「また食べたい!これ、どこで買えるの?」という質問には答えられなかったんです。通常の流通ルートだと、生産した豚肉は農協に出荷して、他の生産者の豚と同じように「豚肉」として売られるので、宮治家の豚だと見分けがつかないのです。それが、先ほどのバーベキューに繋がったんです。
今の仕事を目指した理由
編集担当
宮治さんは、いつ養豚という職業を継ぐことを決めたのですか?
宮治さん
実は、昔は仕事を継ぐことをまったく考えていませんでした。僕の父も継がせる気はなかったようです。
ストレスフリーな環境で育てられるみやじ豚
編集担当
では、将来の夢などはあったのでしょうか?
宮治さん
僕、結構歴史が好きだったんですよ。だから、漠然と「天下をとりたい!」なんて夢があって(笑)。現代の一国一城の主って何かといえば、社長ですよね。だから、なにか起業をしたいという思いはありました。大学でも経営学を学び、刺激を受けましたね。
編集担当
それがどのようにして今の職業へと変わっていったのですか?
宮治さん
大学卒業後は、人材派遣会社で働きながら起業の準備をするために勉強していたのですが、その中で「社長は手段に過ぎない」ということに気がつきました。社長になることではなくて、社長になって何をするのかということが本当は大切なんですよね。
実家でやっていた農業は、自分の理想のライフスタイルを実践できる現場だということに気がつきました。それで、家に帰って養豚業を継ぐことにしたんです。
編集担当
「自分の理想のライフスタイルを実践できる」とは、例えばどういうことでしょう?
宮治さん
田舎でのんびり生活することもできるし、バリバリ働いて東京で営業をして稼ぐこともできる。自分のやりたい形で仕事をつくることができるのが農業の魅力です。これこそ「一国一城の主」に最も近いと思っています。
保護者、そして子ども達に伝えたいこと
編集担当
宮治さんご自身の経験から、保護者に伝えたいことはありますか?
宮治さん
そうですね、僕は親に好きなことをやらせてもらいましたから、そこはとても感謝しています。言われるとどうしてもやる気が削がれてしまうタイプなので、そうした環境が得意な分野を伸ばすことにつながったと思います。
編集担当
では、子ども達へのメッセージはありますか?
宮治さん
とにかく目の前のことに全力で取り組んでほしいと思います。僕は、学校の勉強も前の仕事も、今の仕事に直接繋がると思ってしていたわけではありません。ただ、目の前にあることを一生懸命に取り組んできたという経験が今に活きていると思っています。
だから、これからを生きる子ども達には、今を一生懸命生きることの大切さを伝えたいですね。遠回りはないですから。
編集担当
最後に、宮治さんから農業に携わることの魅力を教えていただければと思います。
みやじ豚バーベキュー中の宮治さん
宮治さん
「かっこよくて、感動があって、稼げる」。これを僕は「農業の新3K」と呼んでいます。食べものがなくては生きていけないのに、僕らはあまりにも食べものを作るということに無関心ですよね。かつての僕もそうでした。
でも、今、農業は新しく魅力的な仕事として捉えなおされています。ただ生産するだけでなく、商品の魅力をいかに高めて、多くの人に喜んでもらうか。そのためにも様々な経験や知識を活かせる分野だと言えます。
編集担当
後継者不足の中でも、若くて力のある人が少しずつ出てきているんですよね。
宮治さん
祖父の代まで含めれば、親族が農業をやっているという人はとても多いんです。僕は今、「農家のこせがれネットワーク」という、農家のこせがれたちが繋がるNPOを立ち上げています。家族で働くという考え方も、農業ならではだと思います。若い人たちがもっと増えてくれば、農業はさらにおもしろくなると思いますよ。
編集担当
宮治さん、貴重ななお話をありがとうございました!
自分らしさを仕事にするキーワード:「自分の視点を持つ力」
編集担当
養豚業として食べ物を育てるだけではなく、商品の価値を高めることに成功したんですね。
宮治さんのような生き方は、自分のバイタリティで既存の分野に新たな道を切り開く、多くの子ども達の目標なるわね!宮治さん、ありがとうございました!
PROFILE
宮治勇輔(みやじゆうすけ)
養豚業
株式会社みやじ豚 代表取締役
1978年神奈川県出身。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、人材派遣会社勤務を経たのち、実家の養豚業を継いで2006年9月に株式会社みやじ豚を設立。
株式会社みやじ豚ホームページ
http://miyajibuta.com/
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