2024.03.08
因数分解はなぜ必要?因数分解の意味とやり方、公式を1から解説!

中学3年生や高校の数学で習う文字と式の単元で出てくるのが因数分解です。共通因数や定数項など聞き慣れない言葉が説明で多く出てくるのに加え、覚えておかなければいけないテクニックが複数あります。
意味や公式がわからないと苦手に思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、因数分解は数学のどの単元でも頻出なため、しっかりと理解をしておきたいところです。
本記事では、因数分解の意味から解き方、公式、さらには覚えておくべきテクニックまでわかりやすく解説していきます。
因数分解とは?
因数分解は簡単に言うと「式の展開」の逆です。
因数は掛け算の要素です。展開された形の式を掛け算の要素である因数に分解することを因数分解と言います。
展開と因数分解の関係はこちらです。

なぜ因数分解するのか
因数分解、つまり掛け算の形に分解する一番の理由は、方程式の解を簡単に出すためです。

となるxを求めよ、と言われたときに、そのままの式の形ではxを出すのが難しいですよね。
しかし因数分解するとどうでしょうか。

掛け算の結果が0と言うことはどちらかの因数が0だということになります。
ということは

となり、

とすぐに導き出せるわけです。
この「掛けたら0になる」ということから「因数のいずれかが0」という性質を用いて、方程式の解を求めるのが因数分解をする理由です。
掛け算の性質はこのようなものがあり、因数分解をすることで証明が簡単にできる場合がありますので、覚えておきましょう。
「掛け算の結果が0」なら「因数のいずれかが0」
「掛け算の結果が偶数」なら「因数のいずれかが偶数」
「掛け算の結果が奇数」なら「因数に偶数は無い」
「掛け算の結果がnの倍数」なら「因数のいずれかがnの倍数」 (nは素数)
基礎的な因数分解を紹介
これから基礎的な因数分解のやり方を紹介していきます。
共通因数をくくる因数分解

因数分解をする際、最初に行うのは共通因数をくくることです。
そのあとにくくられた後のものがさらに因数分解できないかを考えていきます。
2つ目の式はつい展開しそうになりますが、展開してしまうとわかりにくくなります。
共通因数は単項式だけとは限らないことに注意してください。

を共通因数でくくるとどうなるでしょうか。
2xyが共通因数になるので

となります。

を共通因数でくくるとどうなるでしょうか。
2つ目の式のような形をしているので、まず展開しないで考えてみましょう。
2x-y とy-2xはマイナスをかければ共通因数になりますね。

となります。
【中学】必ず覚えておくべき公式(2乗)
以下の公式は即座に出てくるレベルまでしっかりと覚えて使えるようになりましょう。
なぜそうなるのかは分配法則を使って式を展開すると確認ができます。



【高校】必ず覚えておく公式(3乗)
高校で習う数学Ⅰでは3乗までの公式が使われます。
中学生まででは使うことは無いので、高校生になったら覚えるようにしましょう。
こちらも、なぜそうなるのかは分配法則を使って式を展開すると確認ができます。




たすきがけによる因数分解(2乗)
2次式の因数分解では、公式やその変形では対応できないものがあります。
そのような式を因数分解するには「たすきがけ」と呼ばれる方法を使います。
たすきがけを行うには次の手順で行います。
・「2次の項の係数」と「定数項」がどのような因数に分解できるか(掛け算でできているか)を考える
・それぞれの因数を掛けて足したものが1次の項になるかを確認する
では具体的に確認していきましょう。

2次の項の係数は3なので、因数に分解すると(1, 3)の組み合わせが考えられます。
(-1, -3)の組み合わせもありますが、両方がマイナスの場合は考えなくて大丈夫です。
定数項は6なので、(2,3)と(1,6)の組み合わせが考えられます。
ここからはたすきがけのイメージをお伝えします。
元の式が

の形に因数分解できると考えると、
展開した形は

です。
それぞれの係数並べて1次の項に注目すると

このようにたすきをかけるようにクロスして掛けたものを足し算したものが1次の項と合うかどうかを確認します。
まずは(1, 3)と(2, 3)の組み合わせで確認しましょう。

この組み合わせでは1次の係数が9になるので間違いです。 その場合上下どちらかを左右逆にしてみます。

1次の係数が11となり、たすきがけが成功しました。 これでもダメな場合は(1,3)と(1,6)の組み合わせで同じことをします。
覚えておくべき因数分解のテクニック
発展的な内容として、因数分解では覚えておくべきテクニックが存在します。
基礎をマスターしたらこのテクニックも覚えるようにしましょう。
置き換えを使う

こちらも展開をしてしまってはわかりづらくなってしまいます。
なので、(a+b)をAと置くと

と公式の形になりました。

Aを(a+b)に戻すと

となります。
置き換えをしたときは必ず元の形に戻すのを忘れないようにしましょう。
次数の低い文字で整理する

こちらも今までの方法ではなかなか因数分解できません。
その場合文字の次数を比べると
xの次数は最大2
yの次数は最大1
なのでyについて式を整理していきましょう。

そして右側は共通項xでくくれるので

となります。
そうすると2-xはマイナスをかければx-2となり、共通因数になるので注目すると全体がくくれることがわかります。

このようにとっつきづらい問題は次数の低い文字で整理するようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では、因数分解について解説しました。
因数分解は公式さえ覚えてしまえば、問題が解きやすくなります。ある程度パターン化された問題も多いので、公式を覚えてたすきがけなどのテクニックを練習すればスムーズに問題を解くことができるようになります。
因数分解は、高校で習う数学の基礎となる単元です。中学校の内容から確実に理解し、自分のものにしましょう。
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