2025.06.10

因数分解はなぜ必要?因数分解の意味とやり方、公式を1から解説!

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中学3年生や高校の数学で学ぶ「文字と式」の単元で登場する因数分解は、高校数学の基礎となる重要な単元です。さらに、高校入試でも頻出の分野のため、早めに理解しておくことが大切です。

共通因数や定数項など、聞き慣れない用語が多く出てくるうえ、覚えておくべきテクニックも複数あります。

意味や公式がわからないと、苦手に感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、因数分解は数学のさまざまな場面で頻繁に活用されるため、しっかりと理解しておくことが重要です。

本記事では、因数分解の意味から解き方、公式、さらには覚えておくべきテクニックまで、分かりやすく解説していきます。

因数分解とは?


因数分解は簡単に言うと「式の展開」の逆です。
因数は掛け算の要素のことです。展開された形の式を掛け算の要素である因数に分解することを因数分解と言います。
展開と因数分解の関係はこちらです。


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なぜ因数分解するのか


因数分解、つまり掛け算の形に分解する一番の理由は、方程式の解を簡単に出すためです。


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となる$x$を求めよ、と言われたときに、そのままの式の形では$x$を出すのが難しいですよね。

しかし因数分解するとどうでしょうか。


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掛け算の結果が0と言うことはどちらかの因数が0だということになります。
ということは

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となり、


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とすぐに導き出せるわけです。

この「掛けたら0になる」ということから「因数のいずれかが0」という性質を用いて、方程式の解を求めるのが因数分解をする理由です。

掛け算の性質はこのようなものがあり、因数分解をすることで証明が簡単にできる場合がありますので、覚えておきましょう。

「掛け算の結果が0」なら「因数のいずれかが0」

「掛け算の結果が偶数」なら「因数のいずれかが偶数」

「掛け算の結果が奇数」なら「因数に偶数は無い」

「掛け算の結果が$n$の倍数」なら「因数のいずれかが$n$の倍数」 ($n$は素数)


基礎的な因数分解を紹介

これから基礎的な因数分解のやり方を紹介していきます。


共通因数をくくる因数分解


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因数分解をする際、最初に行うのは共通因数をくくることです。
そのあとにくくられた後のものがさらに因数分解できないかを考えていきます。

2つ目の式はつい展開しそうになりますが、展開してしまうとわかりにくくなります。
共通因数は単項式だけとは限らないことに注意してください。


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を共通因数でくくるとどうなるでしょうか。

$2xy$が共通因数になるので


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となります。


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を共通因数でくくるとどうなるでしょうか。
2つ目の式のような形をしているので、まず展開しないで考えてみましょう。
$2x-y$と$y-2x$はマイナスをかければ共通因数になりますね。


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となります。


【中学】必ず覚えておくべき公式(2乗)

以下の公式は即座に出てくるレベルまでしっかりと覚えて使えるようになりましょう。
なぜそうなるのかは分配法則を使って式を展開すると確認ができます。


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【高校】必ず覚えておく公式(3乗)

高校で習う数学Ⅰや数学Ⅱでは3乗までの公式が使われます。
中学生まででは使うことは無いので、高校生になったら覚えるようにしましょう。
こちらも、なぜそうなるのかは分配法則を使って式を展開すると確認ができます。


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たすきがけによる因数分解(2乗)

2次式で公式が使えないときは「たすきがけ」という方法があります。
やり方は、
・「2次の係数」と「定数項」を因数に分解して組み合わせを考える
・その組み合わせの中で和が1次の項になる組を探す

例えば


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2次の係数は3なので、因数に分解すると$(1, 3)$の組み合わせが考えられます。
$(-1, -3)$の組み合わせもありますが、両方がマイナスの場合は考えなくて大丈夫です。

定数項は6なので、$(2,3)$と$(1,6)$の組み合わせが考えられます。

ここからはたすきがけのイメージをお伝えします。
元の式が


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の形に因数分解できると考えると、

展開した形は


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です。
それぞれの係数並べて1次の項に注目すると


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このようにたすきをかけるようにクロスして掛けたものを足し算したものが1次の項と合うかどうかを確認します。
まずは$(1, 3)$と$(2, 3)$の組み合わせで確認しましょう。


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この組み合わせでは1次の係数が9になるので間違いです。 その場合上下どちらかを左右逆にしてみます。


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1次の係数が11となり、たすきがけが成功しました。 これでもダメな場合は$(1,3)$と$(1,6)$の組み合わせで同じことをします。


覚えておくべき因数分解のテクニック

発展的な内容として、因数分解では覚えておくべきテクニックが存在します。
基礎をマスターしたらこのテクニックも覚えるようにしましょう。


置き換えを使う


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こちらも展開をしてしまってはわかりづらくなってしまいます。

なので、$(a+b)$を$A$と置くと


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と公式の形になりました。


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$A$を$(a+b)$に戻すと


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となります。
置き換えをしたときは必ず元の形に戻すのを忘れないようにしましょう。


次数の低い文字で整理する


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こちらも今までの方法ではなかなか因数分解できません。
その場合文字の次数を比べると
$x$の次数は最大2
$y$の次数は最大1
なので$y$について式を整理していきましょう。


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そして右側は共通項$x$でくくれるので


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となります。

そうすると$2-x$はマイナスをかければ$x-2$となり、共通因数になるので注目すると全体がくくれることがわかります。


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このようにとっつきづらい問題は次数の低い文字で整理するようにしましょう。

【高校】因数定理を使う

高校で習う数学Ⅱでは因数定理というものを学びます。


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$f(a)=0$となる場合、$f(x)$は$(x-a)$を因数に持ち、またその逆も成り立つという定理です。
$(x-a)$を因数に持つならば、$x=a$のとき$(x-a)=0$となり、掛け算の結果が0になります。

では$f(a)=0$となるような$a$はどのように探せばよいのでしょうか。
因数となる候補は次のように探します。

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例えば
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という式の場合は因数の候補は以下の通りです。


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試しに$x=1$を代入すると


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となり、$(x-1)$は因数ではない事がわかります。
$x=2$を代入すると


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となり、$(x-2)$が因数であることがわかりました。
もとの式を$(x-2)$で因数分解すると


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さらに$x^2+4x+3$を因数分解して


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と因数分解することができます。

どう因数分解していいかわからないときは因数定理を使って小さい数字で試してみましょう。


練習問題

次の式を因数分解しなさい。

1.$4xy+8x^2y$




2.$x^2+7x+10$




3.$3x^2+5x+2$




4.$(x+2)^2+6(x+2)+9$




5.$x^2y+xy^2-2xy$




6.$x^2-9$




7.$a^2+2ab+b^2$




(高校向け)次の式を因数分解しなさい。

1.$x^3-6x^2+11x-6$




2.$x^3-y^3$




3.$a^3+3a^2b+3ab^2+b^3$


まとめ

因数分解は、基本の公式をしっかり覚えれば問題がぐっと解きやすくなります。

また、多くの問題はパターン化されているため、公式に加えて「たすきがけ」や「因数分解」などのテクニックも身につけると、よりスムーズに解けるようになります。

高校数学の基礎となる重要単元であり、さらに高校入試でも頻出の分野です。
入試では、因数分解を活用した方程式や文章問題が出題されることもあるため、公式を覚えるだけでなく、実際の問題演習を積みながら確実に理解を深めましょう!
中学校の内容から確実に理解し、自分のものにすることが重要です。

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