2023.02.20
子どもにはスマホを何歳から与える? アンケート調査から考える最適な時期

情報化が進む現代では、ほとんどの人がスマホを持つようになりました。使用性が高く便利な機器ですが、使い方次第でトラブルに巻き込まれる可能性もあるため、お子さまに何歳からスマホを与えたらよいのか悩む保護者の方も多いでしょう。
明光義塾では、2017年2月~3月の期間中、小学4年生から中学3年生までのお子さまを持つ保護者男女760名(小学生4~6年生の子どもを持つ保護者:380名、中学生の子どもを持つ保護者:380名)を対象に、小中学生のスマホ事情に関する実態調査を実施しました。
アンケート調査の結果をもとに、子どもにスマホを与える最適な時期や扱い方をご紹介します。
お子さまの携帯電話・スマートフォンの所有状況に関するアンケート調査
まずは、小4〜6年生・中学生・高校生がどれくらいの割合で携帯電話やスマホを所持しているのか、アンケート調査を行いました。
お子さんは現在どんな携帯電話を持っていますか?
小4〜6年生では「持っていない」が62.8%で、半数以上が携帯電話を持っていない結果となりました。携帯電話を持っているお子さまでも、「スマートフォンを持っている」が16.6%で、フィーチャーフォン(ガラケー)を持っている割合のほうが多いことがわかります。
中学生では「スマートフォンを持っている」が53.5%で、「持っていない」が29.1%という結果になりました。中学生になると、半数以上がスマホを保持しているということがわかります。
高校生では「スマートフォンを持っている」が91.5%となり、ほとんどの高校生がスマホを所持しています。
この結果から、年齢が上がるにつれて、携帯電話を持っているお子さまの割合が多くなり、携帯電話の種類もフィーチャーフォンからスマホへと移行していることがわかります。
お子さんが使用しているスマートフォンにダウンロードしたアプリでご存知のものをお選びください。
スマホを与えている保護者に、お子さまがダウンロードしているアプリのなかでご存知なものを調査したところ、「LINEなどのメッセンジャー」が85.3%という結果になりました。
保護者との連絡手段として携帯電話を持たせているケースも多いため、必須のアプリといえるでしょう。
次に多いのが「ゲーム」で67.6%、「YouTube・MixChannelなどの動画アプリ」48.9%、「Twitter」47.5%と続きます。この結果から、多くのお子さまがメッセンジャーアプリに加え、ゲームや動画、SNSなどの娯楽アプリをダウンロードしていることがわかります。
一方で「単語帳などの勉強アプリ」は17.6%と少ない割合です。約半数のお子さまがダウンロードしているゲームや動画、SNSアプリは、始めるとついつい時間を消費してしまうため、スマホの使用時間によっては、勉強への支障が懸念されます。
勉強の時間をしっかりと確保するためにも、お子さまと一緒にスマホの使い方についてルールを作ることが大切です。
お子さまにスマートフォンを与えるタイミングに関するアンケート調査
実際に、スマホをお子さまに与えたのは何年生の時か、また、そのきっかけについてのアンケート調査を行いました。
お子さんがスマートフォンを持ったのは何年生の時ですか?
アンケート結果からは、お子さんがスマホを持ったのは「高校1年生」が26.6%と最多となり、次に「中学1年生」が21.6%という結果が得られました。このことから、中学や高校へ進学するタイミングで持ち始める場合が多いことがわかります。
また、「中学2年生」と「中学3年生」でスマホを持ち始める割合は、共に11.9%でした。中学1年生から徐々にスマホを持ち始めるお子さまが増えていき、中学3年生では45.4%がスマホを所持するという結果になりました。
一方で、小学生の間にスマホを持ち始める割合は24.8%となり、少数派ではあるものの、早めに持ち始めるお子さまも一定数いるようです。
お子さんにスマートフォンを持たせたきっかけを教えてください
スマホを持たせた一番の理由は「保護者のため(子どもとLINEで連絡するため)」が61.2%となりました。進学によって学校が遠くなったお子さまや、塾や習い事に1人で向かうお子さまとの連絡手段として、利用されているようです。
次に「子どもの友達の多くが持っているため」が39.2%、「子ども本人が(ゲームやアプリの利用で)欲しがったため」が20.1%となりました。周りにスマホを持つお子さまが多くなると、お子さま同士の連絡手段がLINEやSNSとなり、必要になるケースもあるようです。
お子さまのスマートフォンの管理に関するアンケート調査
スマホを与えている家庭では、どのように使い方を管理しているのでしょうか。スマホの利用を制限する方法や使い方の留意点、スマホが原因となった親子間の衝突について、アンケート調査をもとにご紹介します。
あなたはお子さんのスマートフォン利用をどんな方法で制限していますか?
お子さんのスマホ利用の制限方法としては、「家庭内(親子)でルールを作っている」が44.6%と最も多い結果となりました。
小学生からルールを設けている家庭が約半数で、高校生になっても36.0%が家庭内でルールを作ってスマホの利用を制限しています。
また「保護フィルターをインストールしている」割合も30.9%にのぼりました。特に、小学生で保護フィルターを利用しているお子さまが多く、65.5%が保護フィルターをインストールしているという結果がでています。
一方、「制限していない」と回答した保護者は35.5%で、年齢が上がっていくごとに制限がなくなっていく傾向が見られました。
スマートフォンを使う時の留意点やSNSについて家庭内でお子さんと話し合っていますか?
スマホの留意点をお子さまと話し合っているか調査したところ、「話し合う」および「話し合っていないが、必要だと思っている」と回答した方は83.8%となりました。
一方「話し合っていないし、必要ないと思っている」は8.6%と低く、大多数の家庭で、スマホを与える際には話し合いが必要だと感じていることがわかります。
あなたはスマートフォンの使い方、時間などで普段お子さんと衝突したことはありますか?
実際にスマホを与えたことでトラブルがあったか調査したところ、「ある」が54.0%、「ない」と回答した方が45.0%という結果になりました。この結果から、半数以上の保護者が、スマホが原因でお子さまと衝突した経験があるようです。中学生・高校生になると、注意や干渉されることを嫌がるお子さまも多く、スマホの使い方で保護者と衝突しやすくなる傾向にあります。
事前に「ルールを作っておく」ことも有効ですが、「どうしてそのルールを守らなければならないのか」をお子さま自身がよく理解しておくことが大切です。そのためには、スマホの使い方について、お子さまと一緒にしっかりと話し合う時間を設けるとよいでしょう。
お子さまにスマートフォンを与えた結果に関するアンケート調査

続いては、実際にスマホを与えて「よかったこと」と「よくなかったこと」を調査したアンケート結果をご紹介します。
あなたがお子さんにスマートフォンを持たせてよかったと思うことを教えてください。
スマホを持たせてよかったことに関するアンケート結果では、「家族でLINEやSNSをしてコミュニケーションが増えた」が56.8%と最多でした。部活動や習い事、塾などで忙しいお子さまとのコミュニケーションを図る手段が増えることはメリットといえるでしょう。
そのほか「勉強に活用できる」が22.7%、「GPS機能で子供の位置がわかる」が16.9%でした。一方、「特にない」と回答した方が26.3%と2番目に多く、スマホを上手に活用しきれていない一面も見られました。
あなたがお子さんにスマートフォンを持たせなければよかったと思うことを教えてください。
スマホを持たせなければよかった理由を尋ねたアンケート結果では、「ゲームやSNSアプリなどで勉強に集中できない」という回答が43.2%で最も多く、勉強習慣に悪影響を与えている様子がうかがえます。
また、「LINEやSNSでトラブルに合うか心配だ」が21.6%、実際に「LINEやSNSでトラブルに合った」が6.5%という声もありました。
LINEやSNSによって発生するトラブルからお子さまを守るためにも、スマホの安全な使い方を学び、家庭内でルール作りをすることが大切だといえるでしょう。
スマホは何歳から与えるのがいい?お子さまを成長させる考え方
これまでのアンケート調査から、スマホは何歳から与えればよいのでしょうか。スマホが原因となるトラブルが発生しないためにも、お子さまがスマホを上手に活用するように保護者がサポートすることが大切です。
スマホは「いつ持たせるか」ではなく「どのように持たせるか」
情報化社会が進む現代でスマホを「持たせない」という選択肢は現実的ではありません。
学校では、スマホやタブレットを使って授業を行う「ICT教育」が進んでおり、就職活動や仕事をするうえでもネットを使うことが前提となっています。
日常からスマホやタブレットに触れ、使い方を熟知しておくことは、お子さまの将来にとっても必要なことです。
スマホを持たせたきっかけのアンケート調査によると、「学校がとても遠いため連絡手段として必須だった」「塾や習い事に一人で行くことが多かったので、連絡用として」など、目的ができたタイミングで持たせるご家庭が多いようです。
このように、スマホを「いつ持たせるか」にこだわるよりも「どのように持たせるか」が重要です。目的を持って、正しい使い方を学ぶことで、スマホはお子さまにとっても保護者にとっても有益なアイテムとなるでしょう。
スマホ利用に目的を持たせよう
スマホを有効に利用するには、目的を明確にしておくことが大切です。SNSやゲームをすることを目的とするのであれば、スマホは必要ありません。
「連絡手段として」「保護者とのコミュニケーションを密にする」「学習ツールとして活用する」「お子さまを「守る」手段にする」など、お子さま自身に何のために必要なのかを考えさせ、スマホを与える時期や利用方法を検討するようにしてください。
まとめ
お子さまにスマホを持たせる年齢について、明確な答えはありません。傾向としては、小学生高学年からスマホを持ち始めるお子さまが増え、中学生で約5割、高校生で約9割がスマホを所持しています。
お子さまにとってスマホが必要になるタイミングを保護者が見定められるように、スマホを持たせる目的・懸念点を理解しておくことが大切です。
スマホを与える際には、お子さまと話し合い家庭内のルールを決めたり、保護フィルターをつけたりするなどの対策をして、お子さまが上手にスマホを活用できるようにサポートしましょう。
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