2024.07.05
正弦定理について公式と証明、例題も合わせてやさしく解説します!

数学Ⅰで学ぶ正弦定理や三角比の証明には、円周角の定理や円に内接する四角形の性質を使うため、それぞれについて理解が浅いと正弦定理についても理解があやふやになってしまいます。
この記事では正弦定理の公式やその証明、また例題と問題を解くコツについてやさしく解説します。
三角比の理解を深めたい方は、先にこちらの記事をご覧ください。
三角比(sin, cos, tan)入門!表の使い方とわかりやすい公式の覚え方を紹介!
余弦定理についてはこちらからご覧ください。
余弦定理についての公式と証明、例題も合わせてやさしく解説します!
正弦定理の公式とは?
正弦定理は、三角形における辺と角度の関係を示す公式です。$sinθ$(正弦)に基づいているため、正弦定理という名前がついています。

正弦定理の公式から三角形について2つのことが言えます。
①2つの「角度とその対辺の長さ」の4つの値のうち、3つがわかっていれば残りの1つを導くことができます。
例:$a = 1$、$A=30$°、$B=30°$の場合、$b$の長さが導き出せます。
$ \frac{a}{\sin A} = \frac{b}{\sin B} $ より
$ \frac{1}{\frac{1}{2}} = \frac{b}{\frac{1}{2}} $
$ b = 1 $
②以下の3つの値のうち2つがわかれば残りの1つを導くことができます。
・三角形の角度
・その対辺の長さ
・外接円の半径
例:$c=1$、$C=45°$の場合、$R$が導き出せます。
$ \frac{1}{\frac{1}{\sqrt{2}}} = 2R $ より
$ R = \frac{\sqrt{2}}{2} $
$ R = \frac{\sqrt{2}}{2} $
正弦定理の公式がなぜ成り立つのか、証明を簡単に解説
「円周角の定理」と「円に内接する四角形の性質」から正弦定理の公式の証明ができます。
ただし、$A$が鋭角なのか、直角なのか鈍角なのかで証明が変わってくる点に注意が必要です。
Aが鋭角の場合
$B$と円の中心を通る線分と円でできる交点を$A’$とすると、
円周角の定理より、同じ弧である$BC$からできる円周角は等しいため、$∠BA’C=∠BAC$となり、$sinA’=sinA$となります。
三角形$BA'C$に着目すると$ \sin A' = \frac{a}{2R} $ となり、$ \frac{a}{\sin A'} = 2R $、つまり $ \frac{a}{\sin A} = 2R $ となります。
Aが直角の場合

$sinA=1$となり、$BC$は外接円の直径となるため、$a=2R$となります。
よって $ \frac{a}{\sin A} = a = 2R $ となり、$ \frac{a}{\sin A} = 2R $ が成り立ちます。
Aが鈍角の場合
$B$と円の中心を通る線分と円でできる交点を$A’$とすると、

円に内接する四角形の性質から$∠BAC=180°−∠BA’C$となるため、三角比の性質から$sin∠BAC=sin(180°−∠BA’C)$と言えます。
つまり $ \sin A = \sin A' $ で、直角三角形 $ A'BC $ に着目すると $ \sin A' = \frac{a}{2R} $ となり、$ \frac{a}{\sin A'} = \frac{a}{\sin A} = 2R $ が成り立ちます。
正弦定理の問題を解くコツを解説!
先にも述べましたが、正弦定理を用いると三角形についてわかることが2パターンあります。
①2つの「角度とその対辺の長さ」の4つの値のうち、3つがわかっていれば残りの1つを導くことができます。
②以下の3つの値のうち2つがわかれば残りの1つを導くことができます。
・三角形の角度
・その対辺の長さ
・外接円の半径
そのため問われている値を出すためには、どの値がわかっていて、正弦定理のどちらのパターンが適用できそうなのかを考える必要があります。
3つの角度をそれぞれ$A,B,C$、その角の対辺を$a,b,c$、外接円の半径をRとする三角形についての例題をみてみましょう。

パターン①の例題
$ B = 60^\circ $、$ a = \sqrt{2} $、$ b = \sqrt{3} $ のとき、$ A $ の値を求めよ。
$ A $ に関しては
$ \frac{a}{\sin A} = \frac{b}{\sin B} $
のうち、$ \sin A $ 以外の3つがわかっているため導出が可能です。
$ \sin A = a \frac{\sin B}{b} $
$ = \sqrt{2} \frac{\frac{\sqrt{3}}{2}}{\sqrt{3}} $
$ = \frac{1}{\sqrt{2}} $
三角形の内角の総和は$180°$のため、$0° < A < 120°$なので、$A=45°$と導けます。
パターン②の例題
三角形ABCにおいて、$a=7$、$b=15$、$c=13$ のとき$C$の角度を求めよ。
三角形 $ ABC $ において $ b = \sqrt{2} $、外接円の半径 $ R = \sqrt{2} $ のとき $ B $ を求めよ。
$ \frac{b}{\sin B} = 2R $ のうち2つの値がわかっているため導出が可能です。
$ \sin B = \frac{b}{2R} = \frac{\sqrt{2}}{2\sqrt{2}} = \frac{1}{2} $
$ 0^\circ < B < 180^\circ $ のため $ B = 30^\circ $ , $ 150^\circ $ となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、正弦定理について解説しました。
正弦定理は、円周角の定理や円に内接する四角形の性質といった中学校の知識を用いて証明することのできる数学Iの単元です。数式のみに注目すると少し理解が難しいかもしれませんが、三角形のそれぞれの角と辺の関係を落ち着いて整理していけば簡単に理解できるようになるはずです。
特に数学Iの図形分野では、正弦定理は余弦定理と合わせて図形分野においての基本となってきますので例題や類題を解いて理解を深め、自分のものとしましょう。
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