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2021.10.11      2023.10.07

効率よく暗記する方法とは?受験を乗り切るための暗記術やノート作りのコツ

効率よく暗記する方法とは?受験を乗り切るための暗記術やノート作りのコツ

受験において、「暗記」は切っても切り離せないものです。
しかし、「何回勉強しても、なかなか覚えられない」と暗記に苦手意識を抱いている人や、効率的な暗記方法を知りたい人は多いでしょう。
この記事では、暗記のメカニズムを説明し、おすすめの暗記方法や教科別の暗記術を紹介します。

暗記する方法が分からない…そもそも暗記とは?

そもそも「暗記」とは、どのような意味がある言葉なのでしょうか。
内容を理解せずにそのまま記憶する「丸暗記」という言葉のイメージもありますが、辞書では「文字・数字などを、書いたものを見ないでもすらすらといえるように、よく覚えること(※)」と説明されています。(出典:デジタル大辞泉)
つまり、「何も見ずにアウトプットできるほど、物事を覚えること」を指します。

また、受験勉強における暗記には「記憶しなければどうにもならないことを頭に入れる」というニュアンスがあり、特に覚えることが多い理科や社会は「暗記科目」と呼ばれることもあります。

受験生にとって暗記は避けて通れませんが、人間はそもそも忘れる生き物です。
意識して暗記しないと、覚えたものがなかなか身に付かないため、暗記すること自体を苦痛に感じます。
そうなると、成績につなげづらくなる一方ですので、まずは合理的な暗記方法を学びましょう。

暗記する方法を極めるための基礎知識

暗記の効率を高めるためには、記憶のメカニズムを知っておくことが重要です。
ここでは、脳の仕組みを踏まえて、記憶のメカニズムについて説明します。

短期記憶と長期記憶とは?

人間の記憶には、「短期記憶」と「長期記憶」の2種類があります。
短期記憶は頭の中のメモのようなもので、情報を短期的に覚え、同時にその場で情報を使うときにはたらきます。
例えば本を読むときは、前の文章の内容を覚えているからこそ、次の文章が理解できるのです。短期記憶がはたらかないと、このように本を読み進めることはできません。

ただし、短期記憶で覚えられる情報は数個、覚えていられる時間も長くて数分間程度です。
テスト前日に一夜漬けで勉強を行う人がいますが、短期記憶で覚えた内容は数分で忘れてしまうので、試験時にはあまり役に立ちません。

一方、長期記憶は文字通り、長期間情報を覚えておくための記憶です。
例えば、小学生のときに覚えた九九は、大人になってもほとんどの人が覚えています。
これは、長期記憶として覚えていることが理由です。

長期記憶は短期記憶と比べて、覚えられる情報量や時間に制限がありません。
勉強した内容を暗記するためには、短期記憶の情報を長期記憶に移すような勉強を行うことが重要です。

頭に入った情報は「必要だから」記憶に残る

人が情報を記憶するまでには、3つの段階があります。
まず、視覚や聴覚などの五感から入った情報が、脳の「海馬」に一時的に保存され、生きるために必要だと判断された情報は大脳皮質に蓄積されていきます。
その後、蓄積された情報を再び海馬が取り出して、内容を思い出す過程で記憶として定着するのです。

しかし、もし学んだことの全てを覚えてしまうと、記憶は膨大な情報量となり、脳のはたらきが悪くなります。
そのため、勉強で学んだ情報は「生きていくために必要なもの」に当てはまることなく、どんどん忘れてしまいます。
それを防ぐためには、情報を繰り返しインプットしなければなりません。
海馬は、何度も脳に送られた情報を重要なものだと認識し、記憶として定着させようとします。

つまり、効率よく暗記するためには、復習を繰り返すことで脳に「生きるために必要な情報」だと判断させることが重要です。

エピソード記憶と意味記憶の違い

さきほど説明した長期記憶は、さらに「宣言的記憶」と「手続き的記憶」に分けられます。
「宣言的記憶」は事実やエピソードから情報を覚える記憶で、「手続き的記憶」は、やり方やルールを体で覚えるような記憶です。
暗記は宣言的記憶の一部ですが、宣言的記憶はさらに「エピソード記憶」と「意味記憶」に分けられます。

エピソード記憶には、自分が体験した出来事や映画のストーリーのように、それぞれの情報に前後のつながりがあるものが挙げられます。
情報は単体よりもつながりがあるほうが覚えやすいので、エピソード記憶で覚えたことは脳に定着しやすいのが特徴です。
一方、意味記憶は、単語や年号など単体の知識を覚えるもので、エピソード記憶に比べると忘れやすくなっています。

はじめは意味記憶で知識を押さえていきつつ、それぞれを関連付けながらエピソード記憶として積み重ねていくことが、受験における暗記力を高めるためのポイントです。

記憶は夜眠っている間に作られる

日中に頭に入ってくる情報は量が膨大なため、その場では記憶として定着せず、睡眠中に情報が整理されてはじめて記憶として定着します。
したがって、暗記力を高めるには、質の高い睡眠が欠かせません。
人間の睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠という2つの状態に分かれており、この2つの睡眠をうまく活用することが重要です。

ノンレム睡眠中は、脳内で情報の取捨選択を行っています。レム睡眠中は、脳内の情報を関連付け、必要なときに引き出しやすいように整理しています。
この2つの睡眠の周期は、個人差はあるものの約90分間隔です。そのサイクルを4~5回繰り返すと脳のはたらきが高まり、記憶への定着が促されると考えられています。

徹夜して一夜漬けで勉強してもあまり知識は定着せず、余裕を持って勉強したあとゆっくりと眠るほうが勉強の効率は向上します。
暗記の精度を高めるためにも、健康的な生活習慣・睡眠習慣を身に付けていきましょう。

その暗記、本当に必要?効率のよい暗記術とは

受験生にとって、暗記を行うことは勉強の効率を高めることにつながります。
しかし、そもそも学んだことは全て暗記しなければならないのでしょうか。
ここからは暗記する物事の取捨選択について解説し、効率のよい暗記術をひも解きます。

全ての情報を暗記することは難しい

暗記すると一言でいっても、受験では1つの科目だけを勉強すればよいわけではなく、要求される知識量は膨大です。
こうした条件で、そもそも受験に必要な知識を全て暗記することは不可能です。
全てを「覚えよう」「覚えなければならない」と考えてしまうと、覚えられない自分に嫌気がさし、挫折する可能性もあるでしょう。

実は、暗記の質を高めるためには「暗記量を減らす」という観点を持つことが重要です。
覚える量が多すぎることが暗記を難しくしているのなら、覚える量を減らすことから考えてみましょう。
暗記量を最小限に抑えられれば、覚えたあとも忘れにくくなります。

その解答、テスト中に導き出せない?

勉強で出てくる知識の中には、暗記していなくても使えるものが多数存在します。
例えば、数学の公式は覚えていなくても、自分で導き出せるものもあるでしょう。
漢字であれば部首や読みから成り立ちや意味を推測できるものがあります。英単語は接頭辞や接尾辞から思い出すことが可能です。
このように、テスト中に推測して答えを導き出せる知識は数多くあり、他教科にも覚えなくてもよいものはたくさんあります。

テスト中に考えて使えるということは、その内容について深く理解できているということになり、結果的に暗記力向上につながっているといえます。
普段から覚えなくてもよいものは分けて考えておくことが重要です。

暗記するしかないものだけを暗記しよう

暗記するとなると、教科書や問題集で出てきた内容を全て覚えようとする人もいるのではないでしょうか。
しかし、それでは覚える量が増え続け、想像以上に時間と労力がかかります。
先ほども説明したように、暗記の精度を高めるためには、「暗記するものを減らす」という観点を持つことが大切です。

暗記量を減らすためには、まず暗記が必要な範囲をはっきりさせ、「覚えなくてよいもの」を洗い出しましょう。
先ほど説明したような、覚えなくても考えれば導き出せるものが対象です。
そうすることで、覚えるしかないものが見えてくるため、覚える対象を意識して暗記に取り組めるようになります。

また、「覚えなくてよいもの」を自分で考えていつでも導き出せるようにしておけば、暗記量が減るため、勉強時に脳の負担を軽減できます。

【効率よく暗記する方法①】暗記の基本テクニック

【効率よく暗記する方法①】暗記の基本テクニック

暗記を苦手とする人は多くいますが、暗記する際は、いくつかのテクニックを試してみるとよいでしょう。
ここでは、暗記の基本テクニックを紹介します。

反復学習が暗記の基本

どんな情報も、1回で全てを覚えることはほぼ不可能です。
1回にまとめて覚えようとするのではなく、何度も繰り返して、少しずつ頭の中に情報を蓄積していきましょう。

暗記の基本は同じことを何度も繰り返すことです。
何度も使うものは記憶したほうが早いと脳が判断するため、繰り返すことで記憶として定着しやすくなります。

その際、忘れかけた頃に復習することを意識すると、効率的に暗記できます。
「エビングハウスの忘却曲線」と呼ばれる実験結果によると、人は覚えたことを1時間後には50%以上忘れ、24時間後には約70%、1ヶ月後には約80%忘れるそうです。

そのため、例えば勉強したことを1ヶ月後に初めて復習すると、1から勉強し直すこととほとんど同じになってしまいます。
覚えたことを完全に忘れないうちに繰り返して学ぶことで、効率的に暗記していけるでしょう。

知識はアウトプットする

知識を暗記するには、定期的にアウトプットすることも重要です。

基本的に、知識は使われることで記憶に残っていきます。
脳の海馬が情報を重要だと認識するためには、思い出す回数だけでなくアウトプットの回数も必要です。
同じ情報を繰り返しアウトプットすると、それだけ重要な情報だと認識され、脳に定着しやすくなります。

簡単なアウトプットの方法としては、まずは学んだことを書き出してみたり、声に出して読んでみたりすることがよいでしょう。
文章を書く、友達に解説する、問題集や試験で書くことも全てアウトプットです。

失点こそが暗記のチャンス

模試や定期テストを受けたとき、答えを思い出せずに落ち込む人がいますが、むしろ試験でできなかったところこそ暗記のチャンスといえます。

まず、試験に出るところは他の試験でも出題されやすい内容です。
試験を受けると、重要な内容にも関わらず自分が分かっていないところが洗い出されます。

そして、「必要な知識だったのに記憶できていなかった」とショックを受けることで、脳はその内容に対して「記憶しなければならない」という危機感を覚えます。
そのような経験をした物事は印象に残って覚えやすいので、失敗が多ければ多いほど、後々覚えられるものが増えるのです。

つまり、試験後は最高の暗記チャンスです。
テストで失敗したからといって必要以上に落ち込まず、すぐに次回失敗しないための対策を考えましょう。
できなかったところをできるようになるまで復習することで、暗記が捗ります。

【効率よく暗記する方法②】暗記のためのノート活用

暗記用のノートを活用することで、頭の中を整理しながら勉強に取り組めます。
手を動かして文字を書くこと自体がアウトプットとして脳を刺激するため、暗記用ノートには覚えたことを忘れにくくするメリットがあります。
ここからは暗記のために活用したいノートを3種類紹介します。

意味を持たせて覚えるマインドマップノート

知識は、単体のままや、ばらばらな状態だと暗記が難しいものです。
しかし、それぞれをつながりのある内容にすれば、暗記は格段にしやすくなります。

そのときに役立つのが、「マインドマップ」です。
マインドマップとは、用紙の中央にテーマを書き、その内容から連想できる知識や情報を放射状に書き出していく方法のことを指します。

マインドマップを作成すると、頭の中にある情報が1枚の絵のように可視化できます。
それぞれの知識がどのようにつながっているのかがイメージでき、情報をまとめて暗記しやすくなります。

普段から、ノートに情報を書き出す際には、同じように視覚的に見やすいように書くくせをつけておくとよいでしょう。

暗記すべきことを可視化する復習ノート

闇雲に暗記しようとすると、時間や労力がかかるだけでなく、すでに分かっていることを再び覚え直すことになる可能性があります。
勉強するときは、本当に必要なことだけを暗記するのが最も効率的です。
そのため、暗記するべきことを可視化するノートを作りましょう。

このノートは「復習ノート」として、試験で自分ができなかったところをまとめていくと出来上がります。
そうすることで、復習ノートに書かれている内容は、「自分にとって本当に必要なこと」が洗い出されたカタログのようになります。

なお、試験に出てきた問題文やグラフはコピーしてノートに貼っておくと、時間を短縮できます。
このようにして作った復習ノートは、受験当日まで使える武器になるでしょう。

アウトプットによる暗記のための書き捨て用ノート

アウトプットに役立つノートとして「書き捨て用」のノートも1冊作っておくとよいでしょう。
このノートは、余計なことを考えずに暗記したい事柄をとにかく何度も書いて使います。
内容がきれいに整理されている必要はありません。

ノートに書きこむ際は、青ペンを使うのがおすすめです。
青は心をリラックスさせ、同時に集中力を高める効果があるため、暗記するにはもってこいの色です。
また、普段使っている黒とは違う色なので、書いている内容が目に入ってきやすくなります。
スケルトンタイプのペンを使えば、インクの減りがよく見えて達成感にもつながります。

書くときはルーズリーフやコピー用紙ではなく、ノートに書きこんでいきましょう。
ノートを使うほうが「1冊使いきった」という達成感が生まれやすく、あとから見返したときにも「これだけやった」と自信を持てます。

教科別の実践的な暗記術を紹介

ここまで記憶のメカニズムを踏まえて、暗記の方法について解説してきました。
最後に、教科別の暗記術をそれぞれ紹介します。

社会科の暗記

中学や高校の社会は「暗記科目」と呼ばれるほど、覚えている量で点数が大きく左右されるのが特徴です。
しかし、東大に代表されるハイレベルの学校になると、記述式の問題で「知識の暗記」以上に「物事を説明できること」が重視される場合があるため、暗記さえしていれば十分とはいえません。

「教科書を声に出して読む」「ワーク問題を繰り返し解く」などを実践し、それぞれのつながりを意識しながら知識の定着を図りましょう。
社会科は過去や現在に起こった出来事を読み解き、よりよい未来につなげるために必要な学問です。
覚えるべき暗記事項は、「覚えておかなければならない理由」が必ず存在します。

問題として出題されるような内容は、これからの社会を生きていくうえでも重要な知識です。
世の中の物事を説明するための知識として、整理して覚えていきましょう。

理科の暗記

理科の暗記術は、科目ごとに見ていきましょう。

生物

生物は暗記することが多い科目ですが、覚えてさえいれば何とかなるわけではありません。
用語だけ覚えても、そのテーマ全体の内容を理解できていなければ、生物の問題は正しい答えを出せません。
生物はテーマごとにそれぞれの「仕組みを理解」したうえで、体系的に学ぶことが必要です。「なぜそうなるのか」を理解しながら学習を進めましょう。

化学

化学も暗記することが多い科目ですが、化学で学ぶ知識は「覚えるべきもの」と「導き出せるもの」の2種類に分けられます。
例えば、化合物の名前と構造式やイオンの色は覚えるべきもので、構造決定や化学平衡などは導き出せるものです。

大まかには、無機・有機化学は覚えるべきものが多く、理論化学の内容は導き出せるものが多い傾向があります。
このように分けて考えることで、化学における暗記量を減らし、効率的に学習を進められます。

物理

物理は暗記科目ではないため、覚えたことがそのままテストに出ることはあまりありません。
「どのようにその現象が起こるのか?」を考えながら、公式に当てはめて問題演習を行うことで知識が増えていきます。

公式自体も問題演習を進める中で「解くための道具として自然に覚えるもの」だという認識を持っておくとよいでしょう。
物理の知識をインプットする際は、覚えるよりも理解することを意識することがポイントです。

国語の暗記

国語は本質的に「思考力」が問われる科目で、知識を増やしてから問題演習にうつるような他の科目とは根本的に勉強法が異なります。
漢字や古語など、最低限暗記しなければならない前提知識はありますが、基本的に暗記は少ない科目です。

漢字をはじめとした覚えるべきものは地道に覚えていくしかありませんが、意味が正しく理解できていれば、書けなくてもテストではあまり大きな痛手にはなりません。
古語については、「現代語と異なるところ」だけを覚えておくと効率が高まります。

なお、国語の暗記で効果的なのは「辞書を引く」ことです。知識や語彙を関連付けて覚えられるので、効率よく国語に必要な知識を習得できます。

英語の暗記

英語の暗記と聞いて思い浮かぶのは、単語や文法ではないでしょうか。
もちろん単語や文法を覚えることは不可欠なことで、特に文法事項は英語を学ぶうえで全ての基礎になるので、必ず覚えましょう。

しかし、その他にも「重要構文」を覚えるとさらに定着率が高まります。
構文とは、文章を作るうえで必要な型のことを指し、英語の定型フレーズのようなものです。
英語特有のフレーズを覚えることで文法のパターンも学べるので、「読む・聞く・書く・話す」の全ての力が向上します。

単語や文法を覚えても英語の成績が上がらない場合は、参考書や問題集を活用して構文を暗記しましょう。
なお、単語やイディオムは無理に数を追わず、学年に応じて本当に必要なものを完全に覚えることが重要です。

算数・数学の暗記

算数に出てくる内容は中学の数学にもつながる知識が多く、全ての基本となるため「繰り返し学習」を取り入れて必ず覚えましょう。
数学でつまずいた際、算数の知識が抜けていることが原因であることも多く、その場合は算数に戻って完全に覚え直すことが必要です。

数学で出てくる公式は、証明すれば導き出せるため、覚える量が少なくなります。
しかし、試験には制限時間があるため、毎回証明を導き出していると時間が足りません。

数学は「解答時間の節約」という目的のための暗記が必要です。
考えたり計算したりするより覚えたほうが早いと分かったものを優先的に暗記しましょう。

まとめ

受験でスムーズに問題を解くにはたくさんの知識を持っているほうが有利なため、どの教科でも暗記は不可欠です。
暗記と聞くと、どうしても「丸暗記」のイメージを持ってしまいがちですが、決してそれだけではありません。
膨大な知識が必要となる受験勉強には、覚える量を減らした効率のよい暗記方法が求められます。

暗記するときに意識するポイントを変えるだけでも、覚えられる量に差が出ます。
今回紹介した暗記する物事の取捨選択や効率のよい暗記方法を参考に、自分に合った勉強のやり方を見つけていきましょう。

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