2019.10.23
お子さんを不安にさせない。受験期を支える心の保ち方

編集担当
まもなく受験シーズン本番。この時期、受験生の保護者はあれこれ悩むよりもどっしりと構えていることが大切なようです。その理由と保護者の心の保ち方について心理カウンセラーの衛藤信之さんにアドバイスをいただきました。
受験は成長を実感するチャンス。挑戦を楽しんで
これから受験を控えたご家庭に何よりも伝えたいのは、受験を楽しんでほしいということです。まずは受験に挑戦できるほどお子さんが無事に成長したことを喜びましょう。
もちろん、受験に際して不安はあるでしょう。先行きが見えないときに心がざわざわするのは当たり前です。それを何とか解消しようとすると、余計に心がとらわれて不安が増幅してしまいます。保護者も不安になっていいのです。「受験の時期はこういう経験をするもの」と割り切って受け止め、どっしりと構えて一大イベントを楽しんでください。
与えることは奪うこと。特別なことはしなくていい
現代では、「いい教育とは、子どものストレスの要因を外してあげることだ」と考えている保護者が多いように感じます。しかしそれはお子さんの考える力を奪うことに通じます。
例え受験勉強を頑張っている期間であっても、保護者があれこれ先回りして問題を解決しようとすることは成長の機会を奪うことになります。もちろん志望校に行けるのは素晴らしいことですが、合格させることだけが教育のすべてではないでしょう。
教育のゴールは、将来その子が多様なバックグラウンドを持つ人達と共に働き、生きていく力を身につけることのはず。そう考えると、この時期だからこそ浮かび上がった課題をお子さんが自ら解決できるように機会を与えることが最も重要なのではないでしょうか。
また子どもというのは、言葉よりも保護者の後ろ姿を手本にして育つものです。だから保護者があまり深刻にならず、普段どおりにしていることが何よりも大切。受験期間中だからといって、お子さんを過剰に気遣いソワソワし続けるよりも、保護者が自ら積極的に興味のある物事に取り組んでください。お子さんと一緒に学ぶ姿勢をもち、家庭内でチャレンジングなムードを作れるといいですね。

何のための勉強なのか?もう一度に考えてみよう
保護者やお子さんが不安に駆られたり、目標が見えなくなったりしたときは、今一度「お子さんは将来どんな人になりたいのか」を共に考えてみてください。
たとえ受験結果が残念な結果になったとしても、ほとんどの場合はそれだけで道が断たれることはありません。またうまくいかなかったことによって得られる学びがあることにも気づくはずです。
合格に向けて精一杯取り組むことは大切です。ただ、成長を続けるお子さんにとっては、結果よりも目標に向かって頑張ったというプロセスの方が大切であることを忘れないでほしいと思います。
矛盾するようですが、「落ちても大丈夫」という開き直りはリラックスにつながります。お子さんが力を出し切るためには親子ともにどっしりと構えて挑戦を楽しむことです。
不安な気持ちに効く4つのアクション
受験生と保護者が目標に向かってポジティブになるために有効な4つのアクションを教えていただきました。
・「ココロのざわざわ」はI(アイ)メッセージで伝える
「私はこんな風に感じているよ」がIメッセージ、「私はこう思う。だからあなたにこうしてほしい」がYouメッセージです。不安な気持ちがあるときはIメッセージで気持ちを伝えて、必要以上にお子さんを不安にさせないようにしましょう
・保護者自身も課題に取り組んでみる
子は親の背中を見て育つもの。お子さんに一生懸命勉強に取り組んでほしいときは、まず保護者が何か課題に取り組んでみましょう。 親の言動が一致するほど、説得力を持ちます。受験生と一緒に頑張るつもりで資格試験に挑戦してみては?
・受験後について楽しくイメージする
どんな結果になっても、自分の未来を楽しんでいるイメージをしましょう。そうすると、合否にかかわらず自己暗示がかかります。イメージしながら自分に信じ込ませることで、 前向きな気持ちで頑張れるようになるはずです。
・それでも不安なときは腹式呼吸をする
不安が拭えないときは、腹式呼吸をしてみましょう。緊張をすると身体が強張り、呼吸が浅くなります。すると悪いことをイメージしがち。呼吸を整えることで、気持ちが落ち着いてきます。しっかり息を吐くことをとくに意識しましょう。

取材協力
衛藤信之(えとう・のぶゆき)さん
心理カウンセラー、日本メンタルヘルス協会代表。日本で従来行われている理論中心の心理学に代わり、誰の日常生活にも役立つ実践的プログラムを開発。現在、日本一顧問企業数の多い心理カウンセラーとして、多くの人がより自分を輝かせ続ける心理テクニックを教え続けている。
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