2014.08.06 2023.10.08
夏休みから実践!数学・算数嫌いをなくすお子さんとのコミュニケーション
苦手意識を持つ子が多い数学・算数。MEIKO保護者のみなさんからも、数学・算数のつまづきに関するご相談が届いています。「お子さんに口うるさく言っても逆効果」、「自分が教えられない」など、MEIKO保護者のみなさんにとっても悩みの種のようですね。
今回はそんな数学・算数嫌いのお子さんを持つMEIKO保護者の悩みを解決するために、算数・数学講師の大迫ちあきさんにアドバイスをもらいました。大迫さんは公益財団法人・日本数学検定協会のコーチャーもやっていらっしゃる、まさに数学・算数を教えるプロです。また、お子さんのやる気を引き出すコツも併せて教えていただきました。
その1. お悩み別アドバイス
A. 数学・算数は積み重ねの教科。わかっているところまで戻ってやり直す!
算数インストラクター 大迫 ちあきさん
「数学・算数についていけない」というのは、問題が難しいからということではありません。数学や算数は積み重ねの教科ですから、下地ができていないところに新しい知識を重ねても理解できないのは当然です。この解決策はひとつだけ。「わかっているところまで戻る」です。例えばお子さんが中学生の場合、小学生まで戻ろうとも、とにかく勉強し直すことが大事です。お子さんや親御さんのプライドもあるでしょうが、ここはきっちりやり直すことが一番の解決策ですよ。夏休みのような長期休暇は勉強のやり直しにぴったりです。
A. リビングなど目の届くところで勉強させる習慣を!
算数インストラクター 大迫 ちあきさん
子ども部屋に一人でいると、お子さんはどうしても遊んでしまうものですよね。勉強していると主張していても、集中力が続かずに頭に入っていなかったりする場合も多いです。私がおすすめしているのは、リビングで勉強させること。質問があれば教えてあげられますし、教えることができなくても家事をしながら様子をみることができます。勉強も親子のコミュニケーションのひとつと捉えれば、お子さんの中でポジティブなものに変わっていくはずです。我が家の二人の息子たちは高校生の時まで、リビングで勉強していました(笑)。
A. お子さんの将来の夢に関連づけて数学・算数の大切さを教える!
算数インストラクター 大迫 ちあきさん
保護者の方も数学・算数が苦手だった方が多いはず。だから数学・算数が嫌いな気持ちがわかってしまうし、数学・算数の大切さをなかなか伝えられませんよね。そんなときに効果的なのが、子どもの将来の夢と関連づけることです。例えばパティシエになりたい子だったら「栄養や量の計算が必要よね」とか、デザイナーになりたい子だったら「図形ができないとね」といったようにです。そこまで具体的ではなくても「サッカー選手は試合中に自分の走るペースの配分を計算しなきゃいけないね」といった関連づけができるはずですよ。将来の夢のために役に立つということを教えてあげましょう。
その2. やる気を引き出す叱り方
大迫さんには親子のコミュニケーションについてのお話もお聞きしました。「親身になって叱るのに言うことをきいてくない」なんて声も保護者から届いています。叱り方のポイントを押さえてお子さんのやる気を引き出すにはどうすればいいのでしょう?
「禁句」を使わず子どものやる気を引き出す!
算数インストラクター 大迫 ちあきさん
保護者の方がもしかするとお子さんのやる気を削ぐ「禁句」を言ってしまっているかもしれません。数学・算数に限らずお子さんのやる気を削がないためにも、言ってはいけない「禁句」があるんですよ。例を出して説明しましょう。
NGワード1. 「私は数学・算数ができなくてこんなに苦労したのよ」
勉強の大切さを教えようとしているのですが、これを聞くとお子さんは「できなくても生きていけてるじゃん」と思ってしまいます。実際に目の前で生活している親を見ているわけですから「がんばってできるようにならなくてもいい」という意識をお子さんに持たせてしまいます。勉強したらこんなことができる、というポジティブな言葉のほうが、お子さんのやる気は高まるはずです。
NGワード2. 「早く終わらせなさい」
これも言ってはいけないひと言です。お子さんが「とにかく時間内に終わらせればいい」と思って、内容が伴わない勉強をするようになってしまいます。具体的に、いつまでにどれくらいの量をこなせばいいのか提示してあげましょう。お子さんが自分の勉強のペースをつかむこともできますよ。
NGワード3. 「こんなこともできないの?」
先ほど、数学・算数は積み重ねの教科だというお話をしましたが「わからなくなったらわかるところまで戻る」というのは、数学・算数に限らず勉強の基本です。ここで「こんなこともできないの?」と言ってしまうとお子さんのプライドが傷ついてしまいます。プライドが傷ついたお子さんは、「わからなくなったらわかるところまで戻る」という、さらに傷を深くしてしまうようなことにはまず取り組まないでしょう。できたことを褒めるほうがずっと効果的です。
ついつい言ってしまいがちな「禁句」ですが、MEIKO保護者のみなさんは大丈夫でしょうか?お子さんのやる気を引き出すためにも、注意してみてくださいね。
その3. やる気を引き出す褒め方
やる気を引き出す叱り方があれば、やる気を引き出す褒め方もあるようです。「褒めても素直に受けいれてくれない」なんて保護者の悩みもお聞きします。大迫さんに褒め方についてもお話をうかがうことにしました。
算数インストラクター 大迫 ちあきさん
褒め方にも「禁句」があります。その中でも一番悪い例を説明しましょう。
褒め方のNGワード「ちゃんと勉強してていい子ね」
一見問題がなさそうに思えますよね。でも、ここで問題となるのは「いい子ね」という言葉です。この「いい子」は、「親にとって都合がいい子」ということではないでしょうか?お子さんは「いい子」と思われるためにしか勉強をしなくなり、自分で勉強する力が失われてしまいます。褒めるときに一番大切なのは具体的に褒めること。「今までできなかった問題が解けるようになってえらい」といったように、お子さんの問題解決の成果を褒めるようにしましょう。これは勉強だけにとどまらず、普段の生活から心がけてほしいことですね。
その4. まとめ
寄せられたお悩みの解決ポイントをまとめてみましょう。
●数学・算数は積み重ねの教科。わかっているところまで戻ってやり直す!
●リビングなど目の届くところで勉強させる習慣を!
●お子さんの将来の夢に関連づけて数学・算数の大切さを教える!
●「禁句」を使わず子どものやる気を引き出す!
●褒めるときは具体的に褒める!
どのポイントにも共通することですが、一番大切なことはやはり親子のコミュニケーション。一方的な押しつけでは、子どものやる気がなくなりますし、やる気がないからやらないという負のスパイラルに陥ってしまいます。上のポイントを踏まえたうえで、この夏休みを使ってお子さんとの勉強を通じたコミュニケーションをもう一度見直してみてはいかがでしょう?
編集担当
大迫さんが仰るように学習は積み重ねが大事です。明光の教室でも生徒一人ひとりの理解度を確認して、時にはわからなくなった所まで戻り学習します。数学・算数をやり直すに夏休みはぴったりの時間です。復習にしっかり取り組み、二学期に備えましょう。大迫さん、ありがとうございました。
PROFILE
大迫 ちあき(おおさこ ちあき)
日本幼児さんすう研究所 所長
公益財団法人・日本数学検定協会認定
数学コーチャー&幼児さんすうエグゼクティブインストラクター
この記事を家族や友人に教える
あわせて読みたい記事
-
落ち込まないで。お子さまのテストの点数が悪いときの適切な接し方
2023.10.10
テストの返却は、お子さまと同じように保護者もドキドキするものです。お子さまのテストの点数が期待していたよりも悪かったとき、保護者はどのように接するべきでしょうか。 もしかすると、お子さまに対...
-
原因がわかれば大丈夫!「勉強ができない子」のタイプ別対処法を解説
2023.10.23
お子さまの学校の成績がふるわないと、どうして勉強ができないのかと不安になってしまうものです。実際に、勉強がなかなかできないお子さまへの接し方に悩んでいる保護者の方は多いでしょう。 勉強ができ...
-
中学受験で親ができる8つのこと!成功する親に共通する条件とは?
2023.11.30
「中学受験は親の受験」といわれるほど、まだ幼いお子さまがチャレンジする中学受験では親の果たす役割が大きいといえます。それでは、中学受験で親ができることとは、どのようなサポートをいうのでしょう...
-
算数と数学の違いとは?数学でつまずいたら算数からやり直したほうがいいの?
2023.10.07
小学校の「算数」、中学校や高校の「数学」と、よく似た教科がありますが、内容にどのような違いがあるのでしょうか。 「算数は得意だったけど、数学になった途端に分からなくなった」という人も少なくあ...
-
お子さんを不安にさせない。受験期を支える心の保ち方
2023.10.06
編集担当 まもなく受験シーズン本番。この時期、受験生の保護者はあれこれ悩むよりもどっしりと構えていることが大切なようです。その理由と保護者の心の保ち方について心理...
-
子育て心理学:学校に行きたくない? 子どもの変化に気づくポイント
2023.10.08
編集担当 昨日まで元気に学校へ行っていたはずなのに、今日はなんだか様子がおかしい......。お子さんのふとした変化が気になるときってありますよね。もしかしたら重...
-
子育ての悩みが軽くなる? やってみようアドラー心理学
2023.10.08
編集担当 近年「アドラー心理学」をテーマにした本が次々とベストセラーになっていることをご存知ですか? アドラー心理学を実践すると、悩みが軽くなり、勇気...
-
子育て心理学:テストや試合で実力を発揮できる! 緊張のほぐし方
2023.10.08
みなさんのお子さんは、本番に強いタイプですか? それとも緊張してしまって、なかなか実力を出しきれないタイプでしょうか? 勉強や練習に一生懸命取り組んでいるお子さんには、ぜひ本番...
-
評価の点数や○(まる)の数だけじゃない 通知表をフル活用して子どものやる気を伸ばそう
2023.10.06
学期末に子どもが持ち帰ってくる通知表。教科の成績や日常生活の記録などがまとめて記載されていますが、○の数や評価の数字を確認するだけで終わってはいませんか。通知表は子どもの力を伸ばすためには欠...
-
心理学の専門家に聞く!きょうだいを比較しないで育てるには?
2023.10.09
「やってはいけない」と頭では分かっているけれど、ついきょうだいを比較してしまったり、一人だけに手をかけてしまったり......。こんな悩みをお持ちの保護者は少なくないのではないでしょう...
タグ一覧
- #保護者向け
- #高校受験
- #勉強法
- #大学受験
- #アンケート
- #中学受験
- #勉強効率
- #接し方
- #集中力
- #インタビュー
- #勉強計画
- #塾
- #教育改革
- #勉強時間
- #英語
- #日常生活
- #勉強環境
- #夏休み
- #数学
- #進路選択
- #体調管理
- #定期テスト
- #習慣化
- #食べもの
- #復習
- #費用
- #面接
- #学生生活
- #模試
- #部活
- #教室紹介
- #習い事
- #記憶力
- #進学
- #スマホ
- #モチベーション
- #偏差値
- #受験前
- #国語
- #推薦
- #算数
- #自由研究
- #褒め方
- #ルール
- #一般入試
- #内申点
- #叱り方
- #学校生活
- #料理
- #新学年
- #総合型入試
- #通知表
- #個別指導
- #小論文
- #理科
- #社会
- #自分らしさを仕事にする
- #計画
- #読書感想文
おすすめ記事
-
中学受験で重要な算数対策とは?算数嫌いにさせない学習方法
2023.10.05
中学受験の科目の中でも、算数は苦手意識を持つ受験生が多い科目といえるでしょう。 中学受験を成功させるためには、算数を苦手科目にせず、合格に向けて着実に実力をつけていくことが大切です。 現在の...
-
高校受験の塾選びのポイントを解説!失敗しないための注意点も紹介!
2023.10.20
高校受験に向けて、塾に通いたいと考える人や、受験生のお子さまを塾に通わせることを検討する保護者は多いでしょう。 しかし一口に塾といっても数が多いため、どこを選ぶか悩んでしまう人も少なくありま...
-
大学受験の費用はどのくらい?内訳や費用を抑えて合格するコツ
2023.10.05
【2021/12/28更新】大学受験のしくみは以前より複雑化しています。勉強をがんばる受験生本人だけでなく、保護者のサポートも重要になってきています。 最近では、現役合格を目指して複数の大学...
-
【中学生必見!】中間・期末テスト勉強の時間や計画の立て方、点数を上げる勉強法を紹介
2023.10.05
「テストに備えてちゃんと勉強しているのになかなか点数が上がらない」、「部活で忙しくて中間・期末テストの勉強時間が取れない」このような悩みを抱えていませんか? ...
-
授業中の腹ペコ対策! 子どもが自分で仕上げる『塾前ごはん』
2023.10.09
勉強や部活を頑張るお子さんたちは食欲旺盛。塾で帰りが遅くなる日には、夕方に軽食を摂らせてあげたいと考える保護者は多いのではないでしょうか。 今回は、...