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2020.03.11      2023.10.06

くじけない力を育もう! 子どもの「レジリエンス」の高め方

編集担当

嫌なことがあったときや思い通りにならなかったとき、ネガティブな感情に引きずられずに立ち直る力をレジリエンスといいます。ネガティブな感情は人が生き残るために必要だったもので、それ自体は決して悪いものではありません。けれど、いつまでもそれに引きずられていては健康的な生活を送れなくなってしまいます。レジリエンスの力を高めることは、生涯にわたって役に立つものです。訓練と経験によって誰でも高めることができるので、今日からさっそく親子で挑戦してみましょう。
レジリエンスの身に付け方を一般社団法人日本ポジティブ教育協会代表理事
足立啓美さんに教えてもらいました。

※本記事は『メイコミュレター2020 新春号』で掲載されたものをもとにしています。

その1. 困難が起こったときの捉え方の違いを知ろう

その1. 困難が起こったときの捉え方の違いを知ろう

子どものレジリエンスを高めるためには、まず物事の捉え方の傾向を知ることが大切です。同じ状況下にあっても 物事の捉え方は人それぞれ。それが、感情の現れ方の差につながっています。ここでは人の捉え方を肩に乗ったオウムにたとえて、問題が起きたときにどのような思考(オウムのささやき)が起きるのかを考えてみましょう。

「自分は悪くない!」非難オウムタイプ

問題が起きるのは相手に非があるせいだと考えます。そのため怒りの感情が沸き起こりやすく、解決を求めて相手を非難することも。すぐにカッとなるお子さんはこの傾向があるかもしれません。

「ああなったらどうしよう......」心配オウムタイプ

目の前にある問題についてネガティブな感情を抱くだけでなく、現実には起きていないことまで考えて不安になってしまいます。想像力が豊かで先々のことまで考えられるという面もあります。

「どうせできないし......」あきらめオウムタイプ

すぐに「どうせ自分にはできない」と考えるため、無気力になりがち。ときには何かをする前に諦めてしまうことがあります。思春期になるとあらゆることに無関心になることも。

「全部自分が悪い」罪悪感オウムタイプ

問題が起きたことはすべて自分のせいだと感じ、自分で自分を責めてしまうタイプ。似たタイプに「自分なんかどうせ○○なんだ」と自分を卑下してしまうタイプがあります。

「そんなことすべきでない!」正義オウムタイプ

正義感が強く、物事を正しいか正しくないかという指標で判断します。公平ではありますが、人を責めるような言動が生まれがち。人間関係のトラブルは善悪では判断できないことがあるため別の視点も必要です。

編集担当

ネガティブな感情に支配されているときは、いずれかのオウムの声が大きくなりすぎているときかもしれません。そんなときは、捉え方を変えるため別のオウムの声を聞いてみましょう。いつもと違った考え方が起こり、気持ちが変わるかもしれません。

その2. こどものレジリエンスを育てるために親子でできる3つのこと

その2. こどものレジリエンスを育てるために親子でできる3つのこと

レジリエンスを高めるためには、保護者の声掛けや簡単なアクションも有効です。すぐに取り組めることばかりですのでぜひチャレンジしてみてください。

保護者が「はげましオウム」「受け止めオウムになる」

「きっとできるよ、大丈夫」「大変だったね、その気持ちは分かるよ」と声を掛け続けることで、徐々にポジティブな捉え方を子どもに根付かせることができます。ささやきオウムの中には「はげましオウム」や「受け止めオウム」といったひたすらポジティブなタイプもいます。これらのオウムは、お子さんが自分の力だけでは肩に乗せることが難しいケースがあるため、保護者がオウム役になってあげるといいでしょう。

身体を動かす・書き出す

身体を動かすことは即効性のある思考の切り替え方法です。ランニングやウォーキング、ストレッチなど、内容はなんでもOK。また、嫌な思いをしたときには、自分の気持ちや考え方を紙に書き出すことも有効です。

呼吸法を取り入れる

深い呼吸をすることで、リラックスしてネガティブな思考から離れることができます。方法は次の通り。長く吸って長く吐くことがポイントです。

  1. 1. 姿勢を真っ直ぐにして肩の力を抜く

  2. 2. 4拍数えながらゆっくり息を吐く。このときネガティブなイメージが外へ出ていくイメージを持つ。

  3. 3. きれいな空気をゆっくり身体に取り入れる

心の筋肉を鍛えて、困難から立ち直れる子に

レジリエンスは心の筋肉。筋肉は日頃から鍛えておくことで、いざというときに力を発揮します。ここでのトレーニングとは、自分には味方がいると認識すること、好きな物・事を知っておくこと、そして「自分はできる、立ち直れる」と思える練習をしておくことです。親子で日頃から心の筋トレをして、折れない心を育てましょう。

足立 啓美(あだち・ひろみ)

取材協力

足立 啓美(あだち・ひろみ)

一般社団法人 日本ポジティブ教育協会代表理事、ビジーン・アカデミー代表、認定ポジティブ心理学コーチ。オルタナティブ・スクール設立など国内外の教育機関で10年間の生徒指導と学校運営を経て現職。小学校〜高校、適応指導教室など様々な教育現場でレジリエンス講座の講師としても活躍中。共著書に『子どもの「逆境に負けない心」を育てる本』(法研)がある。

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