その他

2018.08.22      2023.10.08

子育て心理学:テストや試合で実力を発揮できる! 緊張のほぐし方

みなさんのお子さんは、本番に強いタイプですか? それとも緊張してしまって、なかなか実力を出しきれないタイプでしょうか?
勉強や練習に一生懸命取り組んでいるお子さんには、ぜひ本番で力を出しきってほしいですよね。緊張をほぐして高いパフォーマンスを発揮するためのポイントを、法政大学心理学科・渡辺弥生教授に教えてもらいました。

育て心理学:テストや試合で実力を発揮できる! 緊張のほぐし方

その1. 緊張するのは当たり前! 不安を味方にしよう

大舞台に立つとき、不安になったり緊張したりするのは当たり前のことです。とくに勉強や練習を頑張ってやってきた人ほど、「きちんと成果が出るだろうか」と不安になることがあると思います。

不安には 「促進不安」「抑制不安」 と呼ばれる2種類の状態があり、前者は不安によって気が引き締まり、実力をより発揮できるもの後者は不安がブレーキとなってしまい実力を出し切ることが難しくなるものです。
不安になることはよくないイメージがありますが、リラックスしすぎている状態よりも「促進不安」にあるときの方が力は出しやすい傾向にあります。不安を味方につけることで、いつも以上のパフォーマンスを発揮できるかもしれません。

その2. 保護者の何気ない声かけがお子さんを追い詰めている!?

「これで失敗したら後がないよ」と言われたとき、「よし、それなら一層気合いを入れなければ!」と促進不安側へ心が動きエンジンがかかる子と、「どうしよう、もうダメかもしれない」と抑制不安側へ動いてしまう子がいます。これは、その子の個性によるところが大きいと考えられます。
抑制不安に陥りやすい子は、もともと「これで失敗したら大変だ」と気弱になっているので、プレッシャーを掛けられることでとどめを刺されてしまうのです。

保護者はお子さんを思うからこそ声を掛けたくなるものですが、内容はお子さんの心の状態に配慮すべきです。「今度もダメかもしれないよ」ではなく、「今度はきっと大丈夫だよ」という一言がお子さんの思考をガラリと変えるかもしれないことを忘れないでください。
また、お子さんは保護者の心の動きに敏感です。受験のときなど、保護者がドキドキそわそわしてしまうと、その緊張感はお子さんに伝染してしまいます。心配したくなるときこそ、保護者は「困ったころがあったら教えてね」とだけ伝え、どんと構えていましょう。

その3. 緊張をほぐすためにできること

お子さんが極度に緊張しやすいタイプであれば、緊張をほぐす方法を教えてあげてください。
人間は、緊張すると肩に力が入り、身体が縮こまります。これを逆手にとり、肩の力を意識して抜くことで、リラックスできるようにします。方法は簡単。まずは思いっきり肩を上に引き上げて止め、ふーっと息を吐きながら力を抜き、手をブラブラさせます。そのとき、呼吸はゆっくりと深くしてください。身体から心の状態をコントロールするのです。
口角を上げて明るい表情を作ることでも、晴れやかな気持ちに近づくことができるかもしれません。これは、行動を先にすることで感情が後からついてくるという認知行動療法の一つです。

手を動かす、特定のものを使うなど、簡単で自動的にできるようなルーチンを作って、心を落ち着かせるのも方法の一つです。しかし、ルーチン動作が複雑だったり時間がかかると、本番でそのルーチン動作がうまくいなかなったときに慌ててしまうことがあるので注意してください。

問題解決のABCD

やたらと緊張してしまう場合は、『問題解決のABCD』を使って「緊張する原因」を特定し、具体的な解決策を考えてみましょう。そうすることで「漠然とした不安」を取り除いていくことができます。

●Asking 何が問題かを考える(自分に問う)

何が自分を緊張させているのか、その理由をよく考えます。緊張すること自体を否定する必要はありません。

例)勉強しきれなかった範囲がある。
  練習中にできないプレーがあった。
  苦手な問題が出題されるかもしれない。
  試験に忘れ物をしてしまうかもしれない。

●Brainstorming 解決方法を考える

緊張の原因に対し、今の自分には何ができるのかを考えます。

例)分からないところは仕方がない。別の項目を頑張る。
  そのプレーをしなくてすむ案はないか。
  苦手な問題を避けて目標点に到達する方法はないか。
  忘れ物をなくす方法はなにか。

●Choice 選択する

ベストだと思われる方法を選択します。

例)分からないところは飛ばして、他の項目に時間を割く。
  立ち位置を変えて苦手なプレーを回避する。
  苦手だとわかっているところの優先順位を下げる。
  前日に準備、当日に確認をする。

●Do 選んだ解決法を実行してみる。

上記のプランを実行します。

法政大学心理学科 渡辺弥生教授
法政大学心理学科
渡辺弥生教授

先生からのメッセージ

常に最悪の事態を想定しまう人は、それが思考のクセになっていることがあります。不安になること自体が悪いわけではありませんが、それが実力を発揮するための障害になっている場合は、少し頭の中に思い浮かべる言葉を意識して変えてみましょう。「どうせできない」ではなく「今度はできる」、「また失敗してしまうかもしれない」ではなく「今はできるかもしれない」と言い換えるだけで、頭の中の思考は大きく変わります。

この記事を家族や友人に教える

あわせて読みたい記事

タグ一覧

おすすめ記事

おすすめ記事

Home > 明光プラス > その他 > 子育て心理学:テストや試合で実力を発揮できる! 緊張のほぐし方