2025.01.30
ルートや平方根について概念や計算方法を1からやさしく解説!

中学3年生から出てくるルート(√)や平方根は、幅広く使われるため大学受験でも必須の知識です。しっかりと理解しておきたいところですが、なかなか理解できず計算が難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事ではルートや平方根の意味から計算方法について1からやさしく解説します。
高校の分野まで解説するので、中学生の方も興味があればぜひ読んでみてください。
平方根とは?
平方根とは、「ある数Nがあるときに、2乗するとNになる数」のことで、2乗根とも呼ばれます。
例えば、4の平方根は「2乗すると4になる数」なので、2と-2の2つの数があります。
このように負の数は2乗すると正となるため、0以外の平方根には正と負の2つの数があります。
中学の範囲では、ある数を2乗すると必ず正の数になるため、平方根を持つのは正の数だけと理解しておきしょう。
高校数学では、2乗すると-1になる虚数 $i$ が出てくるため、負の数の平方根を考えることができます。
ルート(√)とは
ルートとは数学の記号で、「ある数Nの平方根のうち、正の数」を示すことができます。ただし、Nが0のときは、0の平方根は0のみなので、ルート0の値は0になります。また、ルートは根号とも呼ばれます。

例えば$\sqrt{4}$は4の平方根のうち、正の数なので2となります。
ルートを使えば、平方根のうち、負の数を
$-\sqrt{N}$
と表すことができます。
また、定義からこの式も成り立ちます。
$\sqrt{N^{2a}}=N^a$
ルートの計算方法
ここからはルートの計算方法について紹介します。ここでしっかりと基礎を理解しておきましょう。
ルートの和
ルートの和は、ルートの中身が同じ数の場合に計算ができます。
$\sqrt{2}+\sqrt{2} = 2\sqrt{2}$
また、よく次のようにルートの中身を足し算してしまう人がいますが、そのような計算はできません。
$\sqrt{4} +\sqrt{4} \neq \sqrt{8}$
この式の左辺は2+2なので4で、4は右辺の8の正の平方根ではないので等式は成り立ちません。混乱した場合、このように計算して簡単な確認をするといいでしょう。
ルートの積
ルートの積はルートの中身同士を掛け算することができます。
$\sqrt{2}×\sqrt{2} = \sqrt{4}$
この式は右辺と左辺が共に2となるため成り立っています。
また、これは簡単に証明ができます。
$\sqrt{ab}=\sqrt{a}\sqrt{b}$
この式が成り立つことを確認するために、右辺を2乗してみましょう。
$(\sqrt{a}\sqrt{b})^2=\sqrt{a}\sqrt{b}\sqrt{a}\sqrt{b}\\~~~~~~~~~~~~~~~~=\sqrt{a}\sqrt{a}\sqrt{b}\sqrt{b}\\~~~~~~~~~~~~~~~~=ab$となり、2乗した結果が$ab$となります。左辺も2乗すると、ルートの定義から$ab$となるため証明ができました。
ルートの商
ルートの商はルートの中身同士を割り算することができます。
$\frac{\sqrt{4}}{\sqrt{2}} = \sqrt{2}$
こちらも簡単に証明ができます。
$\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}=\sqrt{\frac{a}{b}}$
この式が成り立つことを確認するために、左辺を2乗してみましょう。
$(\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}})^2=\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}×\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}}\\~~~~~~~~~~=\frac{a}{b}$
となり、2乗した結果が$\frac{a}{b}$となります。右辺も2乗すると、ルートの定義から$\frac{a}{b}$となるため証明ができました。
ルートの中身を簡単にする計算
基本的に解答として$\sqrt{4}$と書いてしまうと、減点の対象となってしまいます。なぜなら$\sqrt{4}=2$なので、ルートの中身はできる限り簡単にするというのがルールです。
また、ルートの中身を簡単にする計算は、4のような平方数だけではなく次のような場合にも使えます。
$\sqrt{a^2b}=a\sqrt{b}$
これはルートの積を考えれば成り立つことがわかります。
$\sqrt{a^2b}=\sqrt{a}\sqrt{a}\sqrt{b}\\~~~~~~~~~=a\sqrt{b}$
ルートの中身を簡単にするには、$a$のように約数の中で2乗のものを見つければよいことになります。そのために素因数分解を使います。
素因数分解についてはこちらの記事で詳しく解説しています。理解していない方は先に読むことをおすすめします。
素因数分解とは?やり方を問題を交えてわかりやすく解説します!
では素因数分解を使ったルートの中身を計算する方法について解説します。
例えば$\sqrt{2160}$を簡単にする場合、2160は素因数分解すると$2^4×3^3×5$です。
そのため、このように表すことができます。
$\sqrt{2160}=\sqrt{2^4×3^3×5}\\~~~~~~~~~~~~=2^2×3×\sqrt{3×5}\\~~~~~~~~~~~~=12\sqrt{15}$
このように2n乗のものはn乗としてルートの外に出すことができます。また、2n+1乗のものはn乗としてルートの外に出し、残りの1乗はルートの中に残さなければなりません。
そしてできる限りルートの中身を簡単にしたものが解答となるので注意しましょう。
分母の有理化とは?(数Ⅰの範囲)
高校生が数学Iの範囲で習う分母の有理化について解説します。
ルートの中身をできる限り簡単にしたものは無理数であることが知られています。
分母の有理化とは「分母に無理数があるときに、わかりやすくするために分母を有理数にする」ということです。
例えば$\frac{4}{\sqrt{2}}$を近似値で計算しようとすると、
$\sqrt{2}=1.4142...$
なので、4を1.4142...で割らないといけません。これは少し面倒なので、分母の有理化をすることで計算を簡単にしようということです。
この場合、分母分子に$\sqrt{2}$をかけると
$\frac{4}{\sqrt{2}}×\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{2}} = \frac{4\sqrt{2}}{2}\\~~~~~~~~~~~~~~~=2\sqrt{2}$
となりやっかいな無理数を分母から取ることができました。
有理化の応用
分母に複数のルートがある場合も有理化が可能で、次の公式を応用します。
$(a+b)(a-b)=a^2-b^2$
右辺が2乗の項のみになり、ルートを外せるということを利用して有理化していきます。
例えば$\frac{2}{\sqrt{2}+2}$を有理化する場合、分母と分子に$\sqrt{2}-2$をかけて、
$\frac{2}{\sqrt{2}+2}×\frac{\sqrt{2}-2}{\sqrt{2}-2} =\frac{2\sqrt{2}-4}{\sqrt{2}^2-2^2}\\~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~=\frac{2\sqrt{2}-4}{-2}\\~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~=2-\sqrt{2}$
というように計算ができます。
ルートの整数部分、小数部分(数Ⅰの範囲)
高校生が数学Iの範囲で習うルートの整数部分、小数部分について解説します。
中身を簡単にしたルートは無理数でした。そのため計算で値を出すことが難しいのですが、大体の値の大きさを理解しておく必要があります。
例えば$\sqrt5$は、$\sqrt{4}<\sqrt{5}<\sqrt{9}$のため、2より大きく、3より小さいことがわかります。
よく$\sqrt{5}$の整数部分をaとし、小数部分をbとするという問題が出ますが、この場合整数部分は2で、小数部分は$\sqrt{5}$から整数部分を引いた$\sqrt{5}-2$となります。
ルートの計算の練習問題
最後に、いくつかルートの計算の練習問題を解いてみましょう。
問. $\sqrt{12}+\sqrt{45}$を求めよ。
問. $\sqrt{6}×\sqrt{21}$を求めよ。
問. $\frac{3}{\sqrt{3}-2}$を有理化せよ。
問. $3<\sqrt{2}+\sqrt{3}$を証明せよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では、ルートや平方根の定義からルートの計算方法、有理化まで解説しました。
ルートの計算は高校数学を学ぶうえで必須の知識となるので、定義からよく理解しておく必要があります。
ルートの計算が出てきても困らないように、練習問題を繰り返し復習して、計算方法をマスターしましょう。
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