2021.04.02
模試の復習ノートはなぜ必要?受験を制する効果的な作り方とは

受験の前には、たくさんの模試を受けることになります。模試は入学試験の練習になるだけでなく、現在の習熟度をチェックしたり、勉強するうえでの自分の弱点を把握したりすることにも有用です。
しかし、模試の結果を見て「いい結果でよかった」と安心したり、「悪い点数でショック」と落ち込んだりした後、結果を分析せずにそのままにしている受験生は多いものです。
模試の結果からは自分の得意・不得意を知ることができます。模試の結果を分析し、今後の受験勉強にも役立てることで、受験を制することも可能になるでしょう。そのため、模試を受けた後には「復習ノート」を作ることをおすすめします。
今回は模試の復習ノートの必要性や、効率をアップする作り方について詳しく解説します。
なぜ模試の復習ノートを作るのか
模試の後、自己採点をする人は多いでしょう。その際、自己採点をするだけでなく、模試の復習ノートを作ると、その後の勉強をさらに効率的に進めることができます。
まずは、模試の後に復習ノートを作る意味について考えてみましょう。
模試の復習ノートとは
模試の復習ノートは、文字どおり「模試を振り返り、復習する」ために作るものです。
復習ノートは、解けなかった問題や、間違えた箇所に焦点を当てて作ります。これらを書き出して、「なぜ解けなかったのか」「なぜ間違えたのか」を確認します。
模試の復習ノートと授業で使うノートの違い
学校の授業で書き取る通常のノートも、復習を行うときには欠かせないものです。しかし、模試の復習ノートと授業で使うノートには、作成する理由に明確な違いがあります。
授業のノートをまとめるときは、新たに習ったことをすべて書き出します。そのため、基本的には授業のたびにページが増えていくことになります。ノートのまとめ方は人それぞれ違いますが、試験対策として学習すべき点が網羅されているノートになるでしょう。
一方、模試の復習ノートをまとめるときは、模試で点数が取れなかった問題のみを書き出します。「自分の弱点」のみが集約されることになるため、苦手な問題の傾向や分野を知ることができます。また、自分の弱点なので、内容は人それぞれ異なるでしょう。
授業で使うノートの取り方や書き方、まとめ方については以下の記事でより詳しく解説しています。ぜひご確認ください。
ノートの書き方で成績が変わる?頭の良い人のノートの取り方とは
なぜ「模試」の復習ノートなのか
学校の定期テストが終わったときに、復習ノートを作るのも効果的です。ただし、定期テストの出題範囲は比較的狭いため、その分効果は限定的です。
模試の復習ノートなら、全学習内容の中から受験に必要な苦手分野を知ることができるため、効率的な復習ができます。
【模試の復習ノートの使い方】解けなかった問題の解き直し
模試の復習ノートは、「作って終わり」では意味がありません。模試の結果を今後の学習に役立てることが、試験対策になります。
復習ノートの効果的な使い方は、「解けなかった問題」を解き直して自分の力にしていくことです。
解けなかった問題を書き写す
模試が終わると自己採点をしますが、その際、復習ノートには「解けなかった問題」と「間違えた問題」を書き写しておきます。そして、改めて問題を解いてみます。
解き直すときに計算式や解答を書き込めるように、問題を書き込むときには十分なスペースを空けておくようにしましょう。
完璧に解けるようになるまで解き直す
復習ノートに書き込んだ問題は、教科書や参考書、辞書などを参照しながら解き直しましょう。模試で点数が取れなかった問題は、暗記が不十分だったり、不得意で間違えやすかったりする問題なので、最初のうちはスムーズに解けないかもしれません。
しかし復習ノートを活用した問題の解き直しは試験とは違うため、時間を気にせず問題に向き合うことが大切です。自分なりに理解を深めながら、解答を導き出すための糸口を探し、問題を最後まで解く練習をしましょう。
解き直した後、模試の解答・解説で正誤チェックをします。模試と復習ノートの両方で間違えた問題は、特に注意が必要な部分だといえます。解説をじっくり読み、自分なりに解き方を書き込んでいきましょう。
制限時間を設けて再挑戦する
復習が終わったら、日を改めて再挑戦します。数週間後に解き直せば、自分の力として定着したかどうかを確認できるでしょう。
再挑戦する際は、試験のように時間制限を設けて問題を解きましょう。もちろん、参考書や教科書を見ないで解く必要があります。解き直した後は、正誤チェックをするだけでなく、解き方が合っているかどうかも再確認することが大切です。
最終的に問題をスムーズに解けるようになれば、弱点を克服したことになります。何度か再挑戦することで記憶に定着し、自分の力になっている実感が得られるでしょう。
【模試の復習ノートの作り方】関連する重要項目のまとめ
ここからは、模試の復習ノートの作り方について見ていきましょう。
解けなかった問題の解き直しを書き込んでいくことも大切ですが、「解くために必要な項目」をまとめることも効果的な復習ノートを作るポイントです。
理解・記憶できていなかった項目を抜き書きする
問題が解けない場合は、単語や文法、公式、解き方などを忘れていることもあります。
自分が模試で間違った問題を確認していくと、「この単語が出ると間違いやすい」「この公式を忘れていなければ解けた」といったことがわかるかもしれません。模試の復習ノートには、間違った問題に関連する単語や文法、公式などを書き加えていきましょう。
理解や記憶ができていなかった事項を一覧にまとめておくことで、自分の苦手分野を復習する際に役に立ちます。
できなかった箇所に関連する必要事項も一緒にまとめる
模試でできなかった箇所はもちろんですが、それと一緒に押さえるべき事項もまとめれば、一度に得られる情報の幅が広がります。
特に国語や英語、歴史などの暗記科目の場合、単語や文法、用語などを暗記することが問題を解くための基本となります。そのため模試の復習ノートでは、間違えた問題から関連して暗記しておきたい事柄を記入しておくと効率的でしょう。
国語の中でも模試によく出る古文や漢文は、試験で頻出する「単語・文法」を押さえておけば点数アップにつながります。間違った問題に関連する単語や文法は、復習ノートに書き加えておきましょう。
英語も同じです。語彙力があれば試験問題も解きやすくなるので、間違った問題を見直し、自分に足りない単語や文法を復習ノートに書き込みましょう。復習するときは、声に出すことでさらに記憶が定着しやすくなります。
歴史の場合も、間違った箇所をピンポイントで覚えるよりも、その周辺の出来事と関連付けて覚えるほうが効率的です。大まかな時代背景や関連する出来事・人物を一緒にまとめておくようにしましょう。
数学や理科は思考科目といわれます。思考科目は暗記科目と違い、覚えることよりも解法を理解することが重要になります。
模試で出題される問題は、公式を覚えていても、「解く過程」がわからなければ容易には解けないものが多いでしょう。間違った問題を確実に解ける問題にするには、類似する問題を何度も解き直すことが大切です。
復習ノートには、間違った問題に必要な公式だけでなく、関連した公式も書き加えておくとよいでしょう。公式に関連があると記憶しておくことで、似たような問題が出たときの対策にもなります。
【模試の復習ノートの活用方法】課題の洗い出し
復習ノートは「解けない問題を解けるようにする」ために使うことはもちろんですが、自分の課題を洗い出すためのものでもあります。
できなかった分野をメモする
模試で解けなかった問題をピンポイントで書き出していくのも大切ですが、視野を広げて「どの分野で失点したのか」も記録しておきましょう。模試の結果が出ると、分野別の点数も確認できます。
点数が低い分野は自分の弱点と捉えて、復習ノートで繰り返し学習しましょう。
模試での失敗点もまとめる
模試の日を思い出しながら、復習ノートに失敗点もまとめましょう。
時間配分を間違えて、問題を解き終わる前に試験が終わってしまうこともあります。1つの問題に時間をかけすぎて、解ける問題に着手する時間がなくなってしまうことは、非常にもったいないでしょう。
また、問題をよく読まなかったり、解答の方法を間違えたりしたことで点数を落とすケアレスミスも、次の試験では回避したい失敗といえます。
「単語を覚えていなかった」「解き方を間違った」などの理由ではなく、時間配分やケアレスミスで誤答した場合は、それらを失敗点としてまとめておきましょう。
また、当日体調が悪くて実力を発揮できなかったと感じたら、「睡眠不足で臨んで失敗した」「消化の悪いものを食べてお腹が痛かった」「風邪気味で頭がもうろうとしていた」などを書き留めておきましょう。
再び同じ失敗をしないように、次の試験では数日前から体調管理をしっかり行うようにしましょう。そのような失敗をした経験は教訓となるため、本番の試験で役に立ちます。
洗い出された課題をもとに今後の学習計画を立てる
復習ノートは、何となく見直すだけでは意味がありません。ただ復習するのではなく、「自分には何が足りないのか」を把握しながら復習するようにしましょう。
また、客観的に自分の弱点を見つめ直し、今後の学習についての考えや方針を書いておけば、その反省が次の試験や受験本番につながります。
復習ノートで模試の結果をフル活用

模試の後に復習ノートを作れば、「自分が今後どのように勉強すればよいか」を知るための重要なヒントになります。模試の結果をフル活用するため、模試の意味や復習の方法について再確認しておきましょう。
模試は本番に近い形式で実力を試せる
模試は学校の定期テストとは違い、本番に近い環境と内容で自分の実力を確認するチャンスです。「受験がどういうものか」を知る手がかりにもなるので、受験生にとっては貴重な経験になります。
また、模試の結果を確認することで、「自分の実力がどのくらいか」「志望校を目指す生徒の中でどのくらいの位置にいるか」も知ることができます。
実践的な復習ができる
模試は定期テストとは違い、授業内容に沿った試験ではありません。そのため、受験前に受けておくと、学習した全範囲の中で自分に足りない部分を見つけることができます。
復習ノートに間違った問題を書き記していくと、単に「わからなかった」というパターンだけでなく、「解き方や用語について間違った解釈をしていた」ということも把握できます。復習ノートを作らなければ、同じ失敗を繰り返すかもしれません。
復習ノートで何度も解き直すことで、同じ失敗をする確率を大幅に減らすことが期待できます。
入試本番までの学習計画の練り直しができる
模試で解けなかったり、間違えたりしたところをもとに作った復習ノートがあれば、入試本番に向けて学習計画を練り直すことができます。
また、点数や順位など、現在の実力のチェックも可能です。長期的な視点で、効率のよい学習計画を立てていきましょう。
模試は復習してこそ真価を発揮する
模試をただ受けただけでは、場に慣れる程度の効果しかありません。しかし、結果が出たときに復習ノートで自分自身を分析すれば、それが武器にもなります。
ただし、復習ノートを作っただけでは宝の持ち腐れです。自分の弱点がまとまった復習ノートは繰り返し読み、復習を続けて確実に自分のものにしていきましょう。
まとめ
模試はただ受けるだけでもある程度のメリットはありますが、工夫すれば結果を受け取った後も成績アップにもつなげられる試験だといえます。点数に一喜一憂して終わるのではなく、効果的に活用して入試本番に備えましょう。
復習ノートは人に見せるものではないので、きれいに書くことを意識して時間をかけるよりも、「見やすさ」「活用のしやすさ」を重視して自分のために作るほうがよいでしょう。
そして、解けなかったり間違えたりした問題の反復学習だけでなく、自分の弱い分野を分析して今後の勉強にフル活用しましょう。書き込んでいくうちに、知らず知らずのうちに記憶に定着していきます。
模試の結果を受け取ってからも気を抜かず、復習ノートを活用して実力アップにつなげていきましょう。
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